海の男
3月18日 水曜クラス。
6年生のミサキちゃんに 今後どうするかを聞くと、中学に行っても 水曜にはやく帰宅出来る日があるらしく、月一回になってもアトリエを続けたい・・とのキモチを話してくれた。
まあ やってみて無理のようでも 土曜の空いてる席があれば いろんなクラスを体験するのもいいかも・・ということで コーハイのみんなに
「ミサキちゃんは 続けるってよ。」と言うと、チラチラこっちを見ながら気にしていた 小さいコーハイ達は「よかったぁ。。」と笑った。みんなが そこまで喜ぶとは 静かな存在感のミサキちゃんにとっては 意外だったらしく うれしそう。
いきなり でっっかい大学生のコウヘイ先輩が訪ねて来てくれたので、何時まで滞在できるかわからないから 先に写真を撮った。
なんか予定がありそうだったのに、男の子たちの側で相手をしてくれていた コウヘイ先輩は、あんまりコーハイがなついてしまったものだから、帰るに帰れず つい最後までいてくれた。
この日は いつも騒いでしまう二人がちゃんと絵を描くので、トトロはとても助かり、他の子の指導もゆっくり出来てあり難いことだった。
京都の大学で演劇を学ぶ彼は バイトもして半分自立し たくさんの方達との出逢いと経験で とても成長していた。
子どもの頃から空気をあたたかくする子だったので、たちまちみんなは「センパイ。。」と慕った。これ大切な特技ですよ。
「また この子達のこれからも見たいから アトリエに来ます。先生 お元気で。」と言って、爽やかに自転車で帰って行った。
ありがとうね。
翌日は病院の日で、神戸の診察を6月まで延ばしていただいたことなど報告し、こちらでの検査やらなんやらで 少し顔を腫らして ヒーコラ帰ってみると。。。
突然見知らぬ若者がうれしそうに訪ねて来た。・・・・・見知らぬ と 思ったのは眉毛がなかったから。。。
「トトロ先生、お久しぶりです。リョウタです。」6年か7年振りの リョウタ君だった。
「何で眉毛がないのよ。あなたはりりしい眉がよかったのにさ。」と トトロ。「へへ・・・」とリョウタ。
6年生の終わり頃に 挨拶もなく辞めたので、トトロは怒っていた。何しろ挨拶は大事だと いつも思っているし 教えていたし。。
「何しに来たの?」と聞くと「ココ通る度に 失礼な事をしちまったなぁ・・と 思い出して、今日ようやく来ました。」と。
BOSSが何年生かを聞くと、「世間は高3の年だけど オレ中学を出て すぐに漁師になりました。今船に乗ってます。親方は厳しいです。」。。。ビックリ☆☆☆ あーーーービックリしたー!
「トトロ先生と親方とどちらが厳しいですか?」と聞くと「似てます。」と。アハハ そりゃいい親方だ。
で リョウタは あのときの失礼を詫びて、自分が命がけで海の仕事をしている話をし、下っ端なので料理も作り、でもお金はたくさんもらえる と 少し自慢するから「アトリエにお土産もなくて お金の自慢するんじゃないよ。」と またトトロに叱られた。
「今度来るときは 蟹 持って来ます。」と言うから「おっとっとでいいわよ。」と言うと「あー そーだった。それにカルピス。」と少し涙ぐんだ。そして昔自分が壊した トトロのペンのことや、寒い冬のココアや クリスマスの話も して「また来ます。」と笑った。
なつかしくなったんだね。リョウタ。よく来たね。
「絶対 いのち 大事にするんだよ。」「はいっ。」
6年間 漁師町から通い 船と海の絵ばかり描いていた子。そして とても上手だった。やっぱり漁師になっていたんだね。ガンバレ。
「リョウタ、マスクしなさいよ。」と言うと「海ですから。。。」と笑った顔は海の男だった。
翌 21日土曜日クラス。
タカユキ画伯の作品 完成。キモチのいい絵だ。リョウタの船が見える気がした。
ミカ先輩とセラ先輩が卒業しちゃう日。
頂き物のお菓子も混ぜて みんなで豪華に盛りつけている。
ユリナちゃんは何度も言った。「ミカせんぱい。卒業しちゃうんですか?」
ミカちゃんが 色々指導して ユリナちゃんにアトリエの楽しさを教えてくれたのよね。
みんなは 一瞬マスクをはずして 一期一会の記念撮影。センパイ ありがとーーーー。
トトロ先生から卒業証書授与。「また来てね。」「はい。」
セラ君。お互いに ありがとうの交換。ささやかな記念品贈呈。「ボーナスもらってからでいいから また来てね。」「はいっ。」笑
アトリエを卒業せずに 社会人になってからもアトリエに通うタカユキ画伯には 留年証書。。。笑
でも 社会に出るおめでとうの記念品授与。「先生 オレ来ますから。。」「ありがとうね。頼りにするわよ。」
セラ君のお母さんと妹さんも来て、みんなで見送りの別れはいつまでもつきなかった。
もう職場に出て 始まる前のアルバイトをしつつ 入社前のあれこれをしているらしい。
トトロからはなむけの言葉「人はいろいろだけど いい所が必ずあるから、そこを見て接するんだよ。」「はいっ。」
タカユキ君とセラ君 そしてミカちゃんの3人はアトリエの前で 固く握手した。「また 会おう。」
後半のクラスも このココナちゃんと 向こうの ソーシ君が卒業だ。
ココナちゃんは お母さんと二人で東京に住むことになり、たくさんの不安があったけれど 最後までアトリエに来てくれて、元の月曜クラスのみんなにまで クッキーを持って来てくれた。
トトロは月曜クラスのみんなが書いた ココナちゃんへのメッセージも入れて 贈り物の袋を準備していた。
米子のユリちゃんも来ていた日、みんなは変わらない空気で絵を楽しんだ。
トトロは いつも言う。「どんなときでも いつものようにしようね。」・・・で いつものように絵を描くみんな。
終わり近くに 小さなレセブション。
記念品贈呈のとき ココナちゃんの手はいつまでもトトロの手を握っていた。
「大丈夫よ。トトロ先生は東京より遠くから ひとりで来たんだよ。」「はいっ。夏休みとか おばあちゃん家に来る時 来ます。」
ソーシ君も半年だったけれど サンタも来たし、ここでくつろいで中学受験も成功したし。。いい絵になって来たし。
「また 描きたくなったら いつでもおいで。」「はい。」
みんなは 拍手係と見送り係をそれぞれちゃんとやり遂げて、お互いに ねぎらいの視線を交わした。
なんだか コロナでおかしな疲れが溜っているけれど、みんなはアトリエに休まず向かい、トトロもその日は 気分を立て直して 玄関に予備のマスクと消毒液を備えて迎える。
音楽とお香の香りと 窓を少し開けた空気の流れの中 あの 海の男は大きな声で言っていた。
「あーーー おんなじだ。オレの居たアトリエとおんなじ空気だ。」
トトロはこの日 彼をおぼえていたメンバーに 中学を出て 海の男になっていたリョウタ君の話をした。
仕事の価値は みんなおんなじ。働いて 人の役に立つ。 お互いの日々を支え合い 心豊かに生きる為に。有り難く生きる為に。
(。uωu)<こんばんゎ師匠。
へぇ~ 教え子さんが海の男になっていましたか。
なかなか男気がありそうな面構え(失礼w)でわかりますよ
彼にはアトリエが狭過ぎたんですね きっと^^
年始のテレビでやってる鮪と格闘する漁師の番組
相方が好きで 私もつられて見ちゃうんですが
大変な世界ですよね 命がけで100㌔級の怪物を
素手で手繰り寄せるんですからね~
あ、鮪漁ではありませんね 鳥取だもん アハハ('◇')ゞ
立派な海の男になってください 頑張って師匠に恩返しよ
タ画伯の作品 ・・ もう 何もいえないです アップ感謝♡
アトリエ卒業の生徒さん
おめでとう ・・ で いいのかしら・・・
別れではなく 新たなる門出ですもんね
どんな未来図を描くことになるのでしょう
成長した教え子に再会する楽しみ 師匠の老後もまた
明るい ( *´艸`)ppp
サクラ~ サクラ~ ♪ またここで 逢おう
投稿: プニ | 2020年3月23日 (月) 00時39分
プ二 様
ありがとうございます。
アトリエ始まって以来 初の海の男です。
いろんな未来の中に 見事なことでした。
会いに来て 失礼を詫びるなんて めったに出来る事ではありませんよね。
こちらは 蟹やカレイや 日本海の幸です。
タ画伯はアトリエに存続。。。感謝です。
毎回の心のざわめく別れのシーンもこれでラストです。心地よい疲れのトトロです。
また いつか 笑顔で寄ってくれたらと思っています。
しかし12年間…・長いよね。
子ども時代からの12年は 忘れ難い歴史です。
投稿: アトリエトトロ | 2020年3月23日 (月) 15時42分
すべてトトロさんが変わらずにアトリエに
いてくださるからの出来事ですね・・。
ずっといてくださいね。
(=^・^=)
投稿: うさパン | 2020年3月23日 (月) 17時48分
うさパン 様
ありがとうございます。
えーーーーーーーっ。。。。
変わらずにアトリエに居ることの難しさ。。
それって トトロの修行ですね。
一説によると 23年間変わってないらしく、この前写真見ていて 謎が少し判明。
おんなじエプロンだったのでした。
服も殆どおんなじ。。。。笑
自分の服やエプロン買わずに サンタ修行してるので、・・・・・
ちなみに 靴も6年間おんなじのです。
あんまり外を歩かないから。。。アハハ
いつ 誰が帰って来ても トトロが居るって楽しいことですね。ガンバリマス。
投稿: アトリエトトロ | 2020年3月23日 (月) 20時04分
いいですねえ~帰る場所があるって。
帰る場所があるから安心して出ていけるんですよね。
海の男!
私も小さい頃は思ったことがきちんと話せない子どもでしたので、なんとなく黙ってやめていったことを想像して心がぎゅっとします。
ずっと気にしてたんですねぇ。
そして、同年齢の子よりずっと大人に成長して帰ってくるなんて、素晴らしいドラマを見せていただきました。
投稿: くまたろう | 2020年3月24日 (火) 18時30分
くまたろう 様
ありがとうございます。
ホントにびっくりしました。
トトロびっくり大賞です。
海の男はね 小学生の時はアトリエでペラペラしゃべってたんですよ。笑
で いきなり弟が「兄ちゃんやめた。」と。。
お母さんが後から言いに来たけれど、いつまでも いつか本人が来るかと待ってたトトロでした。
親離れして成長して 気づいて訪ねて来るなんて、見事なことでした。
今のモヤモヤしたご時世に ビックリの明るい話題でした。
ドキュメンタリーのようですよね。
トトロ業していて 良かった。
若者達を応援しつつ、自分もちょっと前向きになれたことに感謝です。
投稿: アトリエトトロ | 2020年3月24日 (火) 19時01分