いのちの旅・・最終回
退院の日は9月25日と決まり、一層リハビリにもチカラが入り 傷の痛みは次第に薄れつつあったけれど 今度はいじった内臓まわりの刺激による「肋間神経痛」が始まった。
手術の前に説明を受けた時に「肋間神経痛と肩こりが起こります」と言われていた通りだった。
まるで着物の帯をキツく締めているいるような範囲の部分がピリピリチクチクと痛むので 引き続き痛み止めに頼る日々。
ラクヨは、何も言ってないのに 家から木綿のショールや小さい毛布やら届けてくれて それをお腹周りにギュッと巻くと少し楽になるのだった。
退院の日には ラクヨの亡きお父さんの法事とかで盛岡に行くとのことで 「もう来られなくてごめんね。」と顔を出してくれた日、トトロは何もお礼が出来ないけれど チェロ弾きのラクヨを描いて 彼女のくれた100均の額に入れて マスキングテープで淵どり、「ジャーン」と差し出した。
本当に彼女が神戸に住んでいてくれて どんなに安心な思いで入院することが出来たか 計り知れない。
ラクヨはそんな自分の功績にも気づかず 「わぁーーー スゴイ」と絵を喜んでくれた。ラクヨありがとう。トトロの精一杯の感謝。
この絵を病室で描いていたとき トトロとBOSSの大学時代の友人のF君も登場。彼は神戸のお寺の僧侶。
「何しとぅ?」。。。「そんなん描けるほど元気になったんやな。」と。ありがとねー。
神戸の友人はラクヨとF君だけなので 100%の出現に感謝です。あたりまえだけど 二人ともトトロと同い年。。。何かワープしてます。
右の内田先生とピンクの大橋先生 真ん中は研修医のヨシジ先生。
この3人は しょっちゅうトトロのベッドに来て下さって 一人だったり二人だったり 三人揃ったり。。。
我が事のように トトロが次第に楽になるのを喜んで下さった。
大橋先生とは神戸で個展をする約束をしてしまった、ありゃりゃ。。。汗
食事は 回復して来た患者さんたちが ここの食堂スペースでいただくのだけれど そこにいつも来ていて勉強をする高校生の女の子が居た。
何度も手術して 夏休みもここで闘病していたとか。
「何になりたいのですか?」と尋ねると「獣医になりたいです。」と。
トトロは絵はがきの中から ワンコを描いたのをプレゼントして「鳥取大学にもいい農獣医学部ありますよ。がんばってね。」と励ました。
そして 彼女が元気になって野原をワンコと駆け回る絵を描いて 差し上げた。
廊下でお母さんから とても丁寧なお礼を言われてしまい恐縮。ネットでトトロのことを発見し絵描きだということがバレたらしい。
さらに このたびのあまり例の多くない 横隔膜麻痺の手術によって肺が広がった感覚を患者側の体感レポートをイラスト入りで描いて先生達にお渡しした。
今まで 出来なかったことが出来るようになった一つ一つのことや、手術に至る経緯や感情の流れを報告書にしたのだ。
これからの患者さんの 何かのお役に立てばいいと思った。患者の心理や実際の術後感覚など あまり資料は無いだろうと思って。
先生達に売店のコピー機でコピーして何枚かを閉じて 色をつけて退院の前の日に手渡すことが出来た。
前日の夜 少し荷造りをしていると主治医のリーダー田中先生がお顔を出して下さって、ちょうど到着したばかりのBOSSに色々な説明やら気をつけなければいけないことなど お話しして下さった。特に、縫ったところが破けると呼吸困難になるから危ないという話は怖かった。
おそるおそる 病院を訪ねて来た8月の初診のとき この先生の笑顔に救われ 手術を決意したトトロ。
見知らぬ 神戸の大学病院での入院と手術生活の中で 文字通りトトロの内臓も含め全てを知って下さった先生達は もはや命の同士のような感覚だった。
本当にありがとうございました。トトロの命を預けて良かったです。
9月25日 天気秋晴れ。
さらば 神戸大学医学部付属病院。(10月28日に診察に来るのだけれども・・とりあえず さらば。。)
駐車場からBOSSが車を廻して来る間に「トトロさーーん。」と呼ぶ声がする。
振り向くと病棟ナースの◎さんが 夜勤明けで見送りに駆けつけてくれていた。
彼女は個室のトトロに「鳥取なんですね。私 島根県出身なんです。」と話しかけて下さった。
他にも集中治療室の男性看護士から「僕は浜坂です。」と言われたり。。。
もはや 中国地方の広い範囲の同郷感覚で 皆さんがトトロを母のように慕ってくれていて まさかトトロは岩手生まれだとは最後まで口に出せずに退院してしまったのだった。。。みんな 神戸でがんばってくださいねー。見送りうれしかったよーーーー。
ありがとう神戸の街。
秋の雲。
帰りに寄り道をして 須磨の水族館に立寄り しばしイルカショーを観た。
歩くのもフラフラなので 車椅子を押してもらって 小さい子達が歓声を上げる中 水族館の美しい魚の世界も観た。
どんなに小さい魚でも 毎日飛んでるイルカでも みんないのちの旅をしているんだね。
行くときは 未知の病院だったのに 帰りは家族のようにみんなと別れて とりわけ重病の人の多い病院なので 色々なことを見て考えた。
生かされている いのち。助けられて 支え合って ありがたく大切にしよう。
OBのシュウヘイ君のラインには「みんな首を長くして 待ち過ぎて 鳥取はろくろっ首が増えてます。」と。笑
挑戦と感謝の中で ひとまず トトロの「いのちの旅・・・神戸編」が トトロ無事生還のうちに終わった。
心身ともに リハビリしつつ アトリエにまっすぐ向かおうと 決心することも またシアワセなのだと思った。
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こんにちは。
トトロ先生のいのちの旅、全部読ませて頂きました。
難しい手術、痛かったことなど。
よくがんばられましたね!
そして、さいごの報告書をみて、ずいぶん楽になられたことが分かりました。
本当によかったです。
絵入りの報告書が書けるのもトトロ先生ならではですね。
縫ったところが破けないように、くれぐれもご無理なさいませんように^^
投稿: ふうちゃん組 | 2019年10月 7日 (月) 20時16分
いつも普通に息をして暮らしていること
何も感じないでいることが実はとてもありがたいことなのですね・・と改めて教えていただきます。
そして、医療の素晴らしさも~
でも技術に勝るものはやはり人の心かしら?
ろくろっくびのみんなも喜んでいるでしょうね~
信州の秋をちょびっと送りましたから、みんなで乾杯して下さいね。
投稿: くまたろう | 2019年10月 8日 (火) 09時06分
ふうちゃん組 様
ありがとうございます。
ごく私的な出来事。。お読みいただき恐縮です。
予想もつかない手術でしたので 今迄の経験はあまり役に立たず 未知との遭遇でした。
何かお役に立ちたくて イラストをつけて先生達に報告をお渡しすると びっくりされて喜んで下さいました。神戸大は全国に先駆けてこの手術を研究実践中なそうです。
いきんだり 重いものを持ったりして 中の縫い目が破けないようにとのご注意を受けました。
マジ怖いです。・。・。
楽になった肺で いい声でアトリエ復活しています。
投稿: アトリエトトロ | 2019年10月 8日 (火) 18時37分
くまたろう 様
ありがとうございます。
そもそも 気づいたきっかけは、あのとき信州におじゃましたときの標高よりも ずっと低いこちらの峠で今年の春に苦しくなったことでした。
横隔膜が麻痺しているのは承知でしたが さらにゆるんで肺が押し上げられていることを神戸で診断され、信州のときは少し苦しいだけだったことを語りました。
おかげさまで また 救われて、自力の深呼吸でスーハー出来る事のシアワセを感じています。
信州の雫。。。粒よりの宝石到着しました。
皮ごと美味しくいただきました。
ありがとうございます。
少しずつ みんなでいただきますね。
投稿: アトリエトトロ | 2019年10月 8日 (火) 18時44分
患者として 身も心も不安なく委ねられる事
1%でも 疑いがあると信頼関係は築けませんよね
この素晴らしいチームとのめぐり逢いがなければ
こんなに順調に回復できなかったかもしれないし
心強い竹馬の友の存在も プラス強壮剤^^
痛い思いはしたけれど
病気にならなければ知り得ない経験ですよね
帰り道に寄り道が出来る余裕があったこと
これだけでも OK
しかし 師匠の行くとこ 全て
トトロワールドの空気に変えてしまうという・・・
これは さすがに西洋医学でも学べない
師匠の持って生まれた 神の手? かも
アハハ('◇')
投稿: プニ | 2019年10月10日 (木) 09時04分
プ二 様
ありがとうございます。
ホントに出逢いは奇跡です。
そして トトロ的な人間関係もキセキなのかも。
とにかく100%信じる事ですね。
帰りの寄り道 無謀でしたが 初めてなので楽しかったです。
投稿: アトリエトトロ | 2019年10月10日 (木) 19時37分