白い絵の具
家の前の紫陽花は、だんだんに色数を増している。始めは全部白かったのに誰が色づけしているんだろう。自然界の神秘アートだ。
少し分けてもらって来て、アトリエをしっとりとしたパステル調に。
日本画の白はどの絵の具よりも真っ白で、貝殻を粉にしてこさえてある貴重な白だ。色を混ぜてもきれいに描けるけれど、そのままの白がとても好きだ。
院展は26日までです。小中高校生は無料なので、是非親子でお出かけ下さい。
11日の土曜の前半は、それぞれの都合で三人だけになったけれど一人分ずつのパワーと楽しさがいっぱいになって、とても充実した空気だった。
Sちゃんは月曜クラスに来ていた子。イラストレーターになりたい中一だ。
小2から小6まで、あまり学校に行かなかった。だからここにも写真を載せられなかった。
中学に入ってからは一日も休まず学校に行っているそうな。
アシスタントのMちゃんが同じクラスで、保護者のように報告してくれたし実際Sちゃんを小学校時代から見守り続けてアトリエに誘ったのもMちゃんだった。
中学に入るとき、別にトトロは何もしなかったけれど
「リズムに乗れたら行ってごらんよ。」と言った。「しんどければ休みなさいよ。」とも。
人はスイッチが入る時期はさまざまなのだから。
後半クラスは反対に全員集合でひしめいている。
さっそく紫陽花に取り組むユイ画伯。
おやつタイムの絵本コーナーは、ゆきのちゃんが読みこなす。
このクラスは特に男の子たちの反応がいいので、絵本も読みごたえのあるクラスだ。
この日ライア君は信念を持って描く姿勢を見せた。いいぞいいぞその調子。
ユシンちゃんは甘い色合いのスィーツをたくさん描いた。
この前のときお休みだったから少し心配したけれど、明るい顔のお父さんと元気にやって来て、絵も描いて粘土もしてとてもうれしそうなのを見ているみんなも嬉しそうだった。
次の土曜はアシスタントが二人とも来られないことになって少し困っていたら、あのユイ画伯が「やりますっ」と言って帰った。ありがたいことです。
サローラがコップを洗っているとき、Mちゃんがていねいに掃除機をかけてくれていた。トレードマークの黄色いエプロンは少し大きい。
考えてみるとトトロがアトリエを続けられているのは、いつも素晴らしいアシスタント達が出現して繋がって絶える事なく手伝ってくれるからだ。
そして、この歴代アトリエアシスタント達の多くが夢を叶えている。
「手伝う」というのは「する」より難しい。手伝ってもらうトトロが助かったと思うことをしなければ手伝ったことにならないからだ。
歴代の「手伝いたい」と言ってくれた子たちは、生徒のみんなやトトロ先生の気持ちに寄り添う為に、とても苦労して成長した。
そして、ここを巣立つとき、しっかりした目標を持って夢に向かって歩いて行った。
きっとこの子たちも知らないうちに「自分」をみつけて行くのだろう。
「今日もありがとうね。」と伝えながらそんなことを思った。
12日の日曜日は、県立博物館で催されている「院展」を鑑賞しに出かけた。
木曜クラスのカナちゃんの運転で博物館に向かうと、サローラとカイキ君が時間通りに待っていた。カナちゃんも含めてみんな院展は初めてとか。
毎回来ているトトロは「いっぱい感動するからね。ゆっくり観ようね。」と日本画のこと院展のこと、少しだけ説明をしてから中へ。
全国の巨匠の作品はどれも凄まじいオーラを発して、大きな絵の中へ旅をさせていただいたような気持ちになった。疲れも気だるさも吹き飛んで絵画の世界に没頭してから感動のため息とともにみんな晴れやかな顔で出て来た。
「どんなに大きな緻密な作品も一本の絵筆で描かれたんだよねー」とトトロ。
「画家さんたちってスゴいね。」なんて言いつつ館内のカフェ・ダール・・ミュゼでケーキとお茶をした。
トトロとカナちゃんは米粉シフォンケーキ、サローラとカイキ君はトルタニコロッタというケーキをそれぞれの飲み物で・・。
そのとき何気なくトトロは中学生の二人に、
「院展に入選するまでどんなに苦労しても夢をあきらめなかった画家さん達の魂を感じましたね。それぞれみんな今やるべきことを頑張ってみようね。」
と言ったのだった。二人は深くうなづいていた。
帰り道、せっかくだからみんなで坂尾先生のおられる「坂尾画材」に寄って挨拶をしてトトロ用の日本画の絵の具を買った。
院展はあと少しで完成するトトロの絵にもたくさんのヒントをもたらしてくれた。
買ったのは白と碧と抹茶色の絵の具。
細かいところを修正して地引き網の形を変え、白いスズランとホタル袋の花を増やした。網の中で跳ねる魚にもていねいに生きた眼を描きいれた。
注文した額はまもなく届くそうだ。
...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。
そして日曜の夜のこと、カイキ君のお母さんからお電話をいただいた。
「今日はありがとうございました。実は最近少し学校から遠ざかっていたのですが今日はとても楽しかったと生き生きと帰って来て、明日からちゃんと学校へ行くと言いました。」
「えーっ!そうでしたか。そりゃ良かった。カイキ君にはいつもお世話になってますよ。今日はトトロ神様の日になりましたね。」

洋画との違いは画材の違いだけ。
(ちなみにトトロは画材さえも和洋折衷、クレヨンも使うし筆ではないモノでも使って描いている。)
まだ何色にも変化していない子ども達の心は日本画の白のようだと思った。
みんな素敵な色に変化していくんだろうな。
繊細で真直ぐな子ども達の心。どんな風にも染まりやすいけれど、見ていると下地の白がちゃんと光っているんだよ。
ていねいに描いていこうね。みんなの未来。

会場マナーは展示場入り口にも書いてあります。
トトロさん 元気してますか

最近、あまり展覧会に行ってない
ラファエロを見たけど・・・・・・・
あまりにも混んでた
投稿: 酒が好き | 2016年6月15日 (水) 05時19分
展覧会に足を運ぶ機会は
あまり多くは無いのですが
行く度に作品を通じて感じる作者のパワーを
いただいて帰ります
真っ白なキャンパスに
いろんな色と形を重ねて
人生という絵を描いて行く
これで終わりということは無いのでしょうし
時には真っ黒にしたくなる事もあるでしょう
それでも新しく白を重ねれば
また違った絵が描けるようになるはず
柔らかい心であれば何かのきっかけで軌道修正可能ですものね(*^_^*)
投稿: Lino | 2016年6月15日 (水) 09時08分
アジサイの七変化。
自然は神秘的ですばらしいですね。
そして
子供たちの感受性も。
アシスタントを自らやると言う
ユイちゃん。
いろいろなことを身につけて成長していくのですね。
お作品も拝見でき
うれしいです。
ありがとうございます。
元気が出ます。
投稿: ホシノ | 2016年6月15日 (水) 12時21分
酒が好き 様
ありがとうございます。
おかげさまでトトロはなんとか元気です。
こちらの会場は日曜だというのにとても空いていて、ゆっくりたっぷり鑑賞できました。
人口最小県の特権かも。^^
だんだん暑くなりましたね。
ご自愛ください。
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月15日 (水) 14時01分
Lino 様
ありがとうございます。
世の中に何故 芸術があるのかと言えば、やっぱり魂の浄化に必要だからでしょうね。
絵も音楽もいいものは 本物の食べ物のように沁み渡ります。
中学生達 いろんな局面で自分の成長と周囲の乱れに悩んだり 病みそうになったりしています。
一番中途半端な時期ですね。
親御さんたち しっかりと見ていて欲しいと思います。
子どもと青年の境界線だから・・。柔らかい心 大事ですね。
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月15日 (水) 15時42分
ホシノ 様
ありがとうございます。
自然界の色彩って 素晴らしいですよね。
日本の四季はもっと くっきり梅雨らしかったのですけどね・・。
すぐに真夏のようで 紫陽花を愛でるにも暑過ぎます。
「手伝いたい」の始まりには 楽しいみたいだと想像している子が多いけれど 実際は大変なのです。
さてさて ユイ画伯の第一歩はどうでしょう。
でも 手伝う意欲があるだけでも ありがたいのです。
知らん顔の多い中 敢えてチャレンジ いいことあると思いますよ。^^
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月15日 (水) 18時03分
みんなの絵がとても素敵で・・心が揺さぶられます。
迷い苦しみ喜び悲しみ・・いろんなものが絵に
つまっているような気がして・・。
人は一人だけど一人じゃない事に気付いてね。
トトロさん、素晴らしい絵が出来上がりましたね。
この絵を見るたびに元気を優しさを
もらえる注文主さんは幸せですね✿(=^・^=)
投稿: うさパン | 2016年6月15日 (水) 22時01分
うさパン 様
ありがとうございます。
子ども達もいろいろな 教育環境で揺れています。
ある中学では先生がずっと休んでおられるとか・・。
トトロにみんなして訴えます。汗
時代が随分変わりましたね。
話すところがあればいいと思って 聴いてます。
この絵は震災避難移住の方達が訪ねて来られてお茶でもしていただけるように建てられた個人のお宅用にと ご依頼だったんです。
何かのご縁と思い 描かせていただきましたよ。
喜んでくださるといいなぁ。
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月15日 (水) 23時26分
みんないい!と思いました。
日本画の白の心は
試行錯誤しながら
自分の色を少しずつみつけてゆくのですね。
銀河鉄道のような地引網が
子ども達の未来を紡いでいくようです。
投稿: くまきろり | 2016年6月15日 (水) 23時34分
くまきろり 様
ありがとうございます。
「みんないい」のコメント深く沁みます。
いつもと同じアトリエと思っていたら大間違い。平和だけでもない子ども達の心の迷いや悩みが垣間みられて、トトロに何が出来るかといつも思います。出来る事はただ一つ・・トトロであること それだけです。
銀河の星を地引き網でひっぱって 夏はそこまで。
絵を描いて仕事して、子ども達においしいものをたんと買って。
絶対に自分のお財布でごちそうするのです。トトロの美学です。^^
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月16日 (木) 00時06分
おはようございます_φ(゚ω^* )♪ 師匠。
あらためて ここトトロアトリエは ただの絵画教室ではなく
心のリハビリや 大人になる為のしつけ そして夢を持ち
目標に向かって 一つ一つ歩んでいく … そんな
素晴らしい場所なんだな~ って。 うん。
みんな p(*^-^*)q がんばっ♪
投稿: プニ | 2016年6月16日 (木) 08時55分
プニ 様
ありがとうございます。
トトロも子どもの頃に こんなアトリエに来たかったな・・なんて、みんなを見ていて思います。
子ども達の人生に少しでも何かの影響を残せたら、トトロの甲斐がありますね。
現代だったら 自分も学校行きたくないかも、なんて思うことがありますよ。みんな よく頑張っています。
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月16日 (木) 12時48分
こんばんは。
無理に前へ進めというのではなく、
自身の気の向くままでいいのですね。
他といつも同じでなければいけないということはないのですよね。。
この間のアトリエの翌日、さっそく院展に行ってきました。
すごい色づかいでした。
もし作者が目の前にいたら、“なぜここをこういう色にしたのですか”ってたずねてみたかったです。
そうですね、時々白の状態にもどってみたいと思いますが。。
投稿: チャーリー69 | 2016年6月16日 (木) 23時01分
チャーリー69 様
ありがとうございます。
なんかトトロは一昨年の手術後に、体力気力に自信がなく上手く普通のリズムに乗れない時期が長くあって、もしかしたら人のリズムはみんな違うんだ・・と気づいたのです。
そして、今年ようやく昔のリズムを取り戻し個展にこぎつけ、それからは大作も平気で浮かんで描けるようになりました。
だから、子ども達も、無理に合わせられないときにはゆっくりボチボチでもいいかな、と思ったのです。
みんな大差はないと思いますね。
大事なのは、自分で納得して進むことでしょ。
院展 圧倒されましたね。
作者にうかがいたい事たくさんありました。
観に行けてよかったです。
投稿: アトリエトトロ | 2016年6月16日 (木) 23時24分