4日目は不思議な一日
4日目は日曜日。晴れ。雲間から天使の梯子の光が降りていた。
やっぱりお客様はたくさんおいでになって、初日に500用意した記念品が無くなりそうになった。
まずはステップも軽くヒメちゃん登場。初参加の喜びを隠せない。
「せいとカード」を大事に持ってパチり。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
絵を観ておられて振り向いて、ひときわデカい青年がトトロに声をかけて来た。「憶えてますか?」「えっと・・・子どもの頃にお会いしてたのかしら?」
「はい。リョウです。」
「えーーーーーーっ タンポポ文庫のリョウちゃん?」「はい。」
彼は保育園から小学3年生までの頃、お姉ちゃんとお兄ちゃんと3人で毎日トトロの家の文庫に来て絵本を読み、遊び、たくさんのお手伝いをしていた。
ある日突然お父さんが若くして亡くなり、文庫のみんなは3人を円陣で囲み、おしくらまんじゅうみたいに抱きしめてあたためた。みんなで泣いた。3月だった。
トトロは彼らの心が元気になる絵本を読んだ。もう20年近く前のこと。
「おばちゃん、これ彼女です。」「リョウ君をよろしくね。」「はい。」
アトリエのみんなと、カイキ君のおねえちゃんやOBのナルミちゃんも入って写真を撮った。
それぞれは初対面でもみんなトトロメイトの・・元、小さかった子どもたち。
なんだかとても不思議な感動で胸がいっぱいになった。お彼岸だから?
みんなが会いに来てくれるギャラリー。
「みんな元気でね。ありがとうね。」「はい。先生もね。」
現役のりょうなちゃん姉妹の顔を見たら、時間が「今」に戻り、気を取り直してはいピース。
同じ時間にりょうなちゃんのアトリエクラスメイトのエミちゃん登場。
受付スタッフが伝えてくれた。
「お母さんのスリッパを出して揃えたのは、エミちゃんだけでしたよ。」
中国人のお母さんは、中でトトロの絵に夢中。そして子ども達の絵に泣きそうになられて「先生・・・ありがとう。すごくいい。すごくたのしい。」と仰った。
だってエミちゃんデビュー作はこれだもの。
トトロが万歳をして、横に大きな花とうさパンちゃん。
「うれしい気持ちを描きました。」
彼女の心はいつもアトリエに来ると満開になるらしい。
こうしている間にもたくさんのお客様がひっきりなく訪れて下さり、お一人ずつにご挨拶やら会話やら、お礼やらサインやらで応対するトトロ。
一番多いお言葉は、「よう元気になられましたなぁ。」だった。
ふと見るとアトリエのチカちゃんがトトロの絵はがきを選んでいる。
アトリエキッズのギャラリーマナーは完璧。
先生がおとなとお話しているときは呼びかけずに待つ。そして絵を観る。
「チカちゃん。写真。」と言うとうれしそうに兄ちゃんを呼んで来た。
この時に来ていたアオイ君とユイちゃんもすぐに並んでパチり。
なんだかみんなが立派に見えた。
新聞社に就職が決まり地元に帰って来る「マサヒロ先輩」のお母さんは、明日山梨に行って彼の大学の寮を引き払い、みなさんに挨拶をして帰って来られるという。うれしい帰郷だ。
「マサヒロ君に取材してもらうまで、トトロはがんばります。」と祝福した。
小学生時分からの夢を叶えた先輩の姿をアトリエのみんなは見ている。
トトロの本を購入された方には、もれなくリクエストのイラストを描き入れた。
この日は「柴犬」とリクエストされた方がお二人も・・。
シュンアキ君デビュー。「僕床屋さんに行ってきたよ。」・・・・りっぱ。
弟のサトシ君と。「兄ちゃん上手いね。」
ボスが「あれ誰だか分かるか?」と聞くので見ると美人双子姉妹がニコニコと近づいて「先生、ご無沙汰しています。」とお辞儀をする。「えっ?」
「10年前までアトリエでお世話になりました。」
こちらも劇的な再会だった。
彼女たちは、人の前では話せなくなる「緘黙(かんもく)症」で、お母さんが悩みアトリエに連れて来られた。数ヶ月が過ぎた七夕の日に、短冊に「みんなとしゃべりたい。」と書かれてあり、「アトリエの七夕様は必ず願いが叶うからね。」と言うと、いきなりニコニコと話はじめた二人。みんなで拍手したという・・・その二人だったのだ。
二人とも福祉施設で働く事になったとの報告に、「おめでとうあなた達は人の痛みがわかりますから大丈夫!!」と、皆さんからいただいたお花を少し分けてプレゼント。
二人はずーっとギャラリーに居てくれて、ガチガチになったトトロの肩を揉んでくれた。
なんて日なんだろう。10年20年を軽くワープして、そんな方のなんと多いことか。皆さんトトロとの思い出を語って、そして絵を観たり買われたりして下さる。
坂尾画材の坂尾先生は、ご自身も画家でトトロデビユーの20年前から励まし続けて下さり、トトロの大作はピッタリの特注額におさめて下さる大切な師匠だ。
「ようがんばったなぁ・・。」と駆けつけて下さり二人でピース。
「先生、長生きして下さいよ。」
面影がトトロ父によく似ていらして、絵の教室のトトロ流も「それでよしっ。」と後押しを下さるのでどんなに心強いことか。
不思議で、熱い再会ばかりの一日の終わり頃にサローラのご一家が四国でお医者さんをされているモンゴルのご友人ファミリーを伴ってご来場。
まずはサローラの絵の前で、子ども達とパチり。
そのドクターファミリーと同じ時間帯に、あの市立病院の看護師長さんとナースの皆さんがお出でになったものだから、しばしギャラリーの中では日本とモンゴルの医療の専門用語が飛び交い、おまけにトトロは患者のプロなので命の話で盛り上がってしまった。
モンゴルのドクターは岩手の絵の前で、「震災ドクターボランティアで行きました。」と。そして馬の絵でモンゴルを思い出すことしばし。
翌日のスタッフをサローラに頼んでいることを「ありがとうございます。」と仰って下さるサローラのお父さん。「サロにとって大きな体験です。」と。
お帰りの時に握手の手をドクター達に差し伸べると
「ジャパンなのにトトロ先生は珍しい。地球サイズのフレンドリーシップです。」と固く握り返して下さった。
サローラは小さく「トトロですものね。」と耳打ちして笑っているし。
いやー・・この日も、時と距離を越えていい旅のような一日だった。
実はお昼前から数時間、ここのコメントを時々して下さるネットでしか知らない方が福岡からわざわざお出でになられて、本名だけ見てもわからず「あのーー」とうかがうとハンドルネームを仰って、この日一番のサプライズはそれだったのだけれど。
手づくりのお昼を召し上がっていただき、束の間お話してギャラリーを観ていただいて・・。日帰りでまた福岡へ・・。お互いのブログを読んでいるから言葉は少しでも、なんだか古い友人のような感覚だった。
不思議な一日が終わり、まだ夢のような感じがしている。
さあ、あと一日。ちょっと顔に疲れが出ているから修正して向かいましょう。
事実は小説より奇なり。皆さんありがとうございました。
復活展は不思議な再会と出逢いの復活でもあった。
« 3日目・・行列のギャラリー | トップページ | 最終日の青空 »
毎日凄いですね。
今日はまたとびきりの出会い、再会の日でしたね。
そしてここからまた出会いが出会いを呼んで
どんどん繋がっていく予感。
大車輪の忙しさもあと一日。
呼吸を整えて、お出掛け下さいね
投稿: くまきろり | 2016年3月21日 (月) 02時14分
(○´∀`)ノ゙こんにちゎ★師匠。 3日目の様子も拝見しました。
たくさんの方々が トトロの森に遊びに来てくれましたね。
チビ画伯さん達も この経験が今後の作品制作に活かされて
師匠に続け!と さらなる飛躍に期待が膨らみます。
新しい出会い、そして再会。 ご縁の輪がまた広がり、
トトロファミリーは永遠に不滅ですね!
投稿: プニ | 2016年3月21日 (月) 07時40分
くまきろり 様
ありがとうございます。
もう、スゴくてココに書いているのはほんの一部。
分厚い小説を読んでいるような日々でした。
一番先に届いたお花は、シャンとしていて皆さんが「これ本物のお花?と触られ「あ 生花だ・・。」と仰るほどに生き生きと咲いています。
小鬼もこびともお菓子の番に大忙し。スゴい数です。
投稿: アトリエトトロ | 2016年3月22日 (火) 14時02分
プニ 様
ありがとうございます。
毎日立っていても大丈夫な個展は初めてです。
元気になったと言う事です。
ありがたいありがたい・・。
投稿: アトリエトトロ | 2016年3月22日 (火) 14時03分
リクエストのイラストを描くプレゼント、
購入された方もいっそううれしくて
宝物になりますね。
リクエストされたものをすぐに描けるのは
さすがです。
投稿: ホシノ | 2016年3月24日 (木) 17時11分