立春大吉
時は巡り、立春・節分の季節の移ろいの中父の四十九日の法要の為、また盛岡へ向かった。
のどかな風景は、岡山県境の鳥取県智頭(ちづ)町を見渡しつつ走る特急「スーパーはくと」の車窓より。春が近いような日射しが眩しい。
途中に小さな各駅停車の無人駅「恋山形駅」があり、なんとピンク色で全面恋色にしちゃっている、恋人たちの聖地として少し有名な駅だ。
特急はまさか停車しないと思っていたら、待ち合わせの列車通過の為に停まったではないか。この日は偶然にも列車の遅れで奇跡的な停車だったらしい。
トトロは夢中でシャッターを切った。初めて見た駅だった。
真面目で素朴な農業と林業の町に突如現れたピンク。
「恋山形」の名前は昔から続くホントの駅なのですよ。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
鳥取→姫路・・新幹線で東京→新幹線で盛岡・・・。合計約8時間。
トトロが学生の頃は東京→盛岡だけで8時間はかかったけれど、若くて元気だったから苦にならず鈍行や夜行や急行で節約して、もっと長い旅をしたものだ。
着いたら盛岡の雪だるまが歓迎してくれて、冷凍庫のように冷えきった空気が厳寒の北国のおもてなし。BOSSと二人で思わず「ウッ・・気持ちいい!」と強がる。
31日から4日まで滞在するトトロ達に合わせるかのような「小岩井農場雪まつり」の看板発見。
「描かせていただきましたよ。」と心の中で挨拶をした。
翌日は母と諸々の事務手続きやら、まだまだ続いていた弔問客の方々への返礼などの手伝いに明け暮れ、2月2日にお寺で法要。親戚やらとの思い出話と会食膳。
葬儀の時とは違い、笑いさえ交えつつ生前の父をみんなで偲んだ。
明るい法要だった。その席に父が居ないことが不思議な感じだった。
3日は少しだけフリーの時間がとれたので、車で市内から20分ほどの小岩井農場へ。あらかじめ送っていた荷物の中に雪用ブーツを入れておいたのが役に立った。
青空と岩手山の風景にたたずむトトロ。「お父さん、来ているよ。」
寒いけれど雪は少なくて、雪像は地元のキャラクター「わんこ5兄弟」だけ。
「わんこそば」の「わんこ」にいろいろな名物が入っているらしい。
地元の自衛隊作。
小学生たちが先生に引率されて続々と訪れ、その中にトトロの母校「上田小学校」の2年生くらいの子ども達が歓声を上げながら入場。
学校からも少し遠くに岩手山が見えるし、もちろん校歌にも「♪北に大きく岩手山~~~~」とあるのに、小岩井のでっかい岩手山を見た男の子が叫んだ。
「うわ~~~~~~~っ りっぱな富士山!!」・・・汗。おいおい・・・・。
4泊もするのは初めてというくらい長く逗留して、盛岡に居た最後の日、実家の近くの県立博物館に行ってちょっと一息。美味しいカフェでコーヒーを一服した。
これは「チャグチャグ馬っこ」。岩手6月の風物詩だ。絵の大作にも描いた。
どこもかしこも父の散歩コースだった。
時が全てを癒してくれる。そう信じたい。
独りになった母は、今のところ気丈に山積みの法事の後仕事や来客の接待に忙しくしているけれど、なんだかとても小さく見えた。言わなかったけどね。
まあ、お互いに生き抜きましょうと挨拶をして家を後に帰りの新幹線に座った。
この旅の途中、何度かとても息が苦しくなりゼーゼーしてしまうのがとても不安だったけれど、アトリエに帰り土曜の教室の準備を始めたら息が整って来た。
もちろん旅先にも呼吸器の機械を持ち込み使いながらケアしていたのに、列車に乗るときや段差を歩くときにペースを周りに合わせなければならず、苦しかったのだった。やはり健常者とは言えない自分の限界を再確認した。
トトロの生きられる場所はアトリエだった。
土曜Aクラス。可愛い小鬼を描くケント君。
その小鬼達にやさしくオヤツをあげているコーセー君。
Bクラスのシュンアキ君のお父さんが、中国の旧正月(春節)の連休で帰って来られてアトリエにいらっしゃった。お土産の天津甘栗ようかんを人数分いただいた。
エミちゃんはこの日もトトロ先生にお手紙を書いて持って来た。「先生だいすき。アトリエだいすき。」と書いてあったから「先生もエミちゃん大好き。みんなのことも大好き。」と言ったらニコニコしていた。
もう生徒展の作品はほぼ全員完成して、あとは額に入れて題名をつけるだけ。
みんなの絵がとてもいいから、トトロは安心して自分の作品が描ける。
そうそう、あの「小岩井農場」の絵はおかげさまで入選していた。
どこかのクラスと見に行こうかな。
けん玉に夢中の子ども達。ふたりでコツを教え合う姿はとてもいい。
立春大吉。新年好(しんねんハオ)
トトロの居場所は、やっぱりここだった。春はもうすぐ。
おかえりなさい。長旅おつかれさまでした。
ピンクの駅舎に「お~~~!」と驚き
岩手山に「ほぉ~~~!」と見とれ
上田小学校に「へぇ~~~!」と親近感。(笑)
小岩井農場の絵入選おめでとうございます。
絵の具のにおいと、子どもたちの温もりが呼吸を整えてくれるのかな?
投稿: くまたろう | 2016年2月 7日 (日) 12時25分
くまたろう 様
ありがとうございます。
あの襟巻き大活躍でしたよ。
トトロも「上田」に親近感おぼえておりました。
岩手山は「南部富士」とよばれているから「デッカい富士山!!」もまあまあ当たりかな?笑
3年振りの市展出品でしたから、ゆるくカムバックを果たせました。ありがとうございます。
みんな、「自分の居場所」では楽に呼吸できるのでしょうか。
気持ちの問題も有りかな・・と思い知りましたよ。
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 7日 (日) 13時40分
お疲れさまでした&入選おめでとうございます☆
不思議なもので
葬儀の時はただただ悲しみの中にあったのが
49日を迎えると残された方も少し落ち着いて
笑顔で語り合えたりあするんですよね
仏教の世界観では49日経つと
ようやくあの世とこの世の境目にある
賽の河原にいきつき
6文の渡り賃を支払って舟で彼岸に渡るとのこと
お父様も無事に向こうに行かれたことでしょう
冬来たりなば春遠からじ
投稿: Lino | 2016年2月 7日 (日) 14時07分
Lino 様
ありがとうございます。
本当にその通りです。
故人が向こうのほうに行き着くとき、遺族もおんなじ速度で心境が整うんですね。きっと無事に渡って行ったことでしょう。
弟の時は事故でしたから、本人も遺族も実感がなくて長い間サマよっていたのかも知れませんね。
春遠からじ・・・。Linoさんも体調が早く戻られますように。
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 7日 (日) 17時03分
お帰りなさい。
列車をたくさん乗り継いで、息が苦しくなったり
大変でしたね。お疲れ様でした。
また、小岩井牧場の絵、入選おめでとうございます。
アトリエに帰って、作品を描いていこうとはりきっておられる感じがします。
がんばってくださいね。
でも、だんだん暖かくなっていきますし、
きっとお父様も守ってくださると思いますから、
あまりご無理なさいませんよう。
投稿: ふうちゃん組 | 2016年2月 7日 (日) 19時23分
ふうちゃん組 様
ありがとうございます。
何事も体験しながら自分の体力を知るのでした。
気持ちの上では元気なつもりでしたが、不具合も発見できたのでドクターに報告して、何とか工夫しつつやっていこうと思います。
さてこれから、季節も気持ちも春に向かいアトリエの心強い弟子たちに支えてもらいながら前へと進みます。
いつも見ていて下さって感謝です。(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 7日 (日) 21時02分
長旅、お疲れ様でした。
「恋山形」駅、初めて知りました。
ちょっとびっくりです^^;
ひとにはそれぞれに
自分に合った速さがあるのです。
少しゆっくりした流れを持つひとたちにも
もっとやさしい社会になってほしいと願います。
ケント君の小鬼くんたちは表情が豊かですね。
そっとおやつを分けてあげるコーセー君もステキです^^
投稿: くまきろり | 2016年2月 8日 (月) 00時20分
くまきろり 様
ありがとうございます。
ピンクの駅・・地元なのに初めて見てビックリポンでした。
みんな速さの違う時計で生きているんですね。
元気ならどこでも合わせられるかも知れませんが、ストレスを溜めていることにも気づかないのかも。
今回はちょっとハードだったから、オーバーヒートで苦しくなり自分の速度を認識出来ました。
アトリエのみんなとはピッタリ合います。
もちろん小鬼たちにもね。(*´v゚*)ゞ
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 8日 (月) 01時17分
盛岡は19歳から12年間、青春していた街
先月の23日にも友と飲んだ
胆のうがんの手術を終わったが、最近腫瘍マーカー値が上がったと言って・・・・・・・「お前に」を歌いながら涙ぐんでいた友
思わず、トイレに立っていき…泣いてしまった
持ち歌の少ない私は、小林旭「惜別の歌」をうたってしまった
投稿: 酒が好き | 2016年2月 8日 (月) 06時35分
酒が好き 様
ありがとうございます。
幼い頃に住んでいた家は岩大の近くで、亡き弟も岩大でしたよ。
今回父の法要で冬の盛岡を何度も体感し、あのキリリとしたしばれる空気感にふるさとの日々を蘇らせて来ました。
いい街ですよね。
惜別と出合いの繰り返し。
お友達も元気になられますようにお祈りしています。
男の友情の涙はあったかいべ。
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 8日 (月) 13時05分
こんにちは。
「恋山形駅」、知ってますよ。
ピンク色がとても印象的ですよね。
そして長旅お疲れさまでした。
僕も岩手の空気を吸った感じがしました。
未知の土地なんですけどいつか行ってみたいと思います。
岩手山、ほんと大山によく似てます。
今後もアトリエでどんな夢を見させてもられるのか楽しみです
投稿: チャーリー69 | 2016年2月 8日 (月) 16時52分
こんばんは 師匠。おかえりなさい。
小岩井農場と空飛ぶ汽車 あれはええ絵じゃのう
わしは大好きじゃ。わしもいっしょに飛んでみたくなるわい。
プニママの法要も済み、あとは部屋の整理やら
もろもろの手続きに プニさんも飛び回っちょるぜよ。
そうそう 長らくお世話になったのう 師匠。
外伝を支えて頂いて本当に ありがとうございました。
師匠と出会えたことは わしの宝じゃ。
またいつか 逢える日まで どうぞ達者で!
さらば トトロ師匠。
投稿: 龍馬 | 2016年2月 8日 (月) 23時14分
チャーリー69 様
ありがとうございます。
ピンクの駅 ご存知でしたかー。さすが。私は初めて見ました。
盛岡はモダンな街でチャーリーさんの被写体が盛り沢山ですよ。
是非一度お出かけ下さい。
大山に似たフォルムの岩手山。
小岩井農場も北欧の農場みたいでステキに広い農場です。
ただ冬は寒くて・・あんなに寒いところで暮らしていたのかと思いました。アトリエは展覧会に向かってまっしぐら。
トトロは絵を増やします。応援よろしくお願いしますね。
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 8日 (月) 23時50分
龍馬 殿
長いこと本当に楽しませていただいて ありがとうございました。
人間臭い龍馬殿の大きな夢と世界観、プニさんが見事に現して下さいましたね。毎日の連載 スゴイことだと感服しておりました。
今の日本も大切なココロザシをもう一度思い出して しゃっきりせんといかんぜよ。
また時々は 出て来て欲しいと願います。
プニさんにもくれぐれもよろしくお伝え下さい。
トトロも頑張るきに 応援頼みますよ。
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月 8日 (月) 23時55分
わんこきょうだい、可愛すぎますね。
ふふふ。
調べてみました。
そばっち、とふっち、おもっち、こくっち、うにっち・・。ととっち。
あ、ひとつ、多かったです・・。
投稿: 紋白蝶。 | 2016年2月16日 (火) 17時34分
紋白蝶 様
ありがとうございます。
駅に着いたとたん、もうどこに行っても「わんこきょうだい」だらけ。
いろんな格好してました。
ちよっちも似合うかも・・。調べていただきありがとうです。
法事なのに、いろいろ発見していたら心和みましたよ。
やっぱり可愛いものは安らぎますね。おそばはお好きですか?
投稿: アトリエトトロ | 2016年2月16日 (火) 22時55分