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2013年11月22日 (金)

雲間の光

1311224☆(アトリエ前のクリスマスツリー)

何やら心ざわめく晩秋の候。また不思議なタイムスリップがおこった。

  先先々回の神戸の友人との20数年ぶりの再会話(ともだち)に続き、先週はもっと前の盛岡での高校時代の後輩がいきなり訪ねて来た。時はもう40数年も前の吹奏楽部の一級下の、私にそっくりだったフルートのちえこ。私はクラリネットだったけど、楽器はヘタでもみんなのめんどうを見るのが得意だったから、後輩達は私が東京の大学に出てそのまま鳥取に来てしまう時、泣いて送別会をしてくれた。

  とかなんとかチラホラ思い出してはみたものの、出雲大社の平成の大遷宮のお参りやらも兼ねて実に10日間の一人旅の帰路に立ち寄る「後輩」の訪問は少なからずアンビリーバボー。
 急きょ予定が空いていた友人に来てもらって砂丘や砂像美術館、漁港などを巡り、相変わらず私に似ていた彼女の今までのことをちょっとだけ聞いて夕方の駅に見送った。アトリエでお茶をしてもらい、絵ハガキやおみやげの煎餅を渡し、描きかけの絵を出しっぱなしの理由を一月の個展の準備だと話すにつけ、風の噂で車いすだとばかり思っていた私が立って歩くのを見て、さらに前に進んで仕事をしていたことに驚愕の様子のちえこ。いろいろと悩みもあるようだったけど、30代になる子どもさんもふたりいて、なんとか家族でやっているらしかった。
1311221 ☆(一週間ぶりの青空と鳥取砂丘。まだ砂が湿っていて歩けた。)
1311222☆(砂でできたアートが圧巻の砂像美術館/右が後輩のちえこ)

   あまりにも時が経ち、お互いのことはあまり話す時間もなく、久しぶりに晴天だった砂丘の広さに救われた。毎日明日へと生きる未来の人達と精一杯アトリエをしている私は、故郷が震災に遇うまであまり過去は振り返らなかった。これからも前に進んで行こうとしているから、急に玉手箱のようにかつての時間に出合うとき、その時差にうろたえてしまう。乗り越えてきたものが大きいからさらにそれ以前のあれこれは、むしろ新鮮だった。

 彼女はそれでも満足して帰ったのかなぁ。「手紙を書きなさいよ。元気で!」と叱咤激励して見送る私はやっぱり今でも「先輩」だった。懐かしんで立ち寄ってくれたことは、後からジワジワとお互いに元気で会えて良かったとの思いが募っていて夢かとも思ったりする。一週間ぶりに奇跡のような青空が広がって、大きな砂丘を見せられたのは何にも増してありがたいことだった。

ふるさとは遠きにありて思ふもの・・・かな?

 数日後、鳥取聾学校で長く教鞭を執られ、写真部を立ち上げて生徒達の写真を全国一になるまで導かれた高田啓一先生の写真展があったので出かけた。卒業生達のその後も追いかけて撮影し続けて、耳の不自由さを抱えつつ果敢に大学に進んで夢に向かえど、なかなか仕事にありつけなかったり、至るところで大変な苦労をしながら真摯に生きる教え子たちを撮してその実態を発表し、問いかけるのがライフワークと仰有る。
 私も数年間小学部の子ども達に絵を教えに行っていたので、手話も少しは出来るけれど、表情や気持ちのほうがすぐに伝わるという高田先生の意見に賛同している。気持ちが込められなかったら、いくらどんなツールで話せても伝わらないということを写真は見事に語っていた。高田先生が全国の卒業生を訪ねて歩き、撮した一枚一枚は輝いていた。きっと会えて嬉しかったのだと思った。私も高田先生と会えてうれしかったのだから。
 子ども達の笑顔の写真の中に、私が絵を教えていた子たちがいた。みんな高等部や大学に進みがんばっていた。よしっ私もがんばろうと思った。
1311223


 
 日曜日に出かけた山里の柿の色や空の雲と光がとてもきれいで、感動して心に何枚もスケッチした。
 めまぐるしい日々だけれどやっぱり私は絵を描こう。一月の個展でみんなにこの風景をプレゼントしたくなった。
1311225 ☆(たわわに実る山里の柿の木)

1311226
☆(その夜に描いた絵・・・学校帰りの風景)

聾学校の子ども達も私も、出来ることの限界を超えてがんばるとその先に天まで届く光が見えてくる。

1311227☆(帰りに振り向くと、夕日が雲間から放射状に天を照らしていた。)

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アトリエ日記」カテゴリの記事

コメント

長い年月を経ても、思い出してひょっこり訪ねて来てくれる。
素敵なことですね。トトロさん、やっぱりいい先輩だったんですね。お互い交す言葉は少なくても、広い砂丘の眺めが全てを包み込んで、ちえこさんを送り出してくれたように思います。

「気持ちを込められなかったら、いくらどんなツールで話せても伝わらない」
山里の柿の木、トトロさんの「学校帰りの風景」、そして
雲間の光…
今日もまた、色々感じることがありました。
ありがとうございます

くまきろり 様
ありがとうございます。
後輩で一年下なんて、社会では5~6歳の差は同年代のお付き合いなのに不思議ですね。学校の先輩ってすごく大人に見えましたよね。ものすごく久しぶりに気づいたら「先輩づら」をしていたトトロです。(*´v゚*)ゞ
会いたい気持ち。伝わるツール。とても大切に思います。
また くまきろワールドにも会いに行きますね。(*゚▽゚)ノ

たわわに実った柿のある山里の何気ない風景。この風景から作り出されたトトロさんの童画、とても温かいです。オレンジ色の風景に包まれた子供たちの幸せそうな笑顔。こちらまで幸せな気持ちになります。

ちえこさんとのエピソード、トトロさんの学生時代を垣間見た気がします。写真のお二人は確かに今の姿のお二人だけど、じーっと見ていると、セーラー服を来たお二人がフルートとクラリネットを持って微笑んでいる姿に。
20年、30年と続くお二人の関係、素敵です。
一日の終わりにとても温かな気持ちになりました。ありがとう。

niko-niko様
寄って下さってありがとうございます。
本当に再会してものの5分もしないうちに、内側からセーラー服の二人が現れました。人って一皮剥けばそうそう変わらないんだなって思いました。もっともてなせばよかったと思ったけれど、急だったからこれで精一杯。なんか みんないきなり会いに来るのは計画的だったりしてね。

今のお友達‥ニコちゃんたちにもいつか初対面できそうな気がしています。それまで個展続けますからね。元気にしてワクワク生きて行きましょう。(*゚▽゚)ノ

 こんにちは、トトロさん。
 トトロさんの「笑顔」に癒されます~ ^^
ご友人も、旅の途中に笑顔で再開。。心残る思い出になりそうですね。^^
 子供たちは、前に向かって進む。。心の準備が出来ていない子でも・・・高田先生に出会えた生徒の笑顔も一瞬、生徒時代に戻れている様な。。
 トトロさんの絵は、見ていて私の童心を心の何処かで感じ癒されます。。柿の木の絵は、うっすら涙が・・・お婆ちゃんが、家の柿の皮をむいて食べさせてくれた楽しい思い出♪~^^
 

アナログ様
 ありがとうございます。体調は戻られましたか?
再会や出逢いや別れ・・。いろいろなバリエーションが重なる年齢になりました。
だから 柿の木の風景に思いが募り描きたくなるのかな。
みなさんの心のふるさとや 子どもの情景を描いて行きたいと思います。
また お越しくださいね。寒くなりましたから気をつけて!!

わぁーー(゚▽゚*)
アトリエツリーの幻想的な色を目印に サンタさんはいらっしゃるのですね
何年経っても変わらぬ友。。。不思議なタイムトリップ
先生とお友達のまっすぐ笑顔に 元気をいただきました。
学校帰りのランドセルと空の色 心弾みます♪ 
先生のみる風景が 幸せの色になり みんなの心に届きます
夕日が照らす天のようなトトロ先生です 

ずっか様
ありがとうございます。
今日は高校生たちが ずっかちゃんにお手紙書きました。
高校生はサンタの秘密を少し知っています。
私までワクワクしているクリスマスです。☆☆
いつか みんなで砂丘においでください。
きっと その日も晴れるでしょう。
あの日柿の風景童画 3枚も描きましたよ。
感動を絵にしていきます。ずっか星も私を照らしてくれるから 感謝です。

こんばんは。
“玉手箱のように…”ですか。
僕もそう感じる時が何年かに一度はあります。
うろたえて言葉がつまってしまいますよね。
今が夢なのか、それとも過去が夢なのかみたいなね…。
でもうらやましいです。
僕はまだ浅いです。
それと、砂丘と砂像美術館に行って来られたんですか。
僕がこの間行って来たところに立っていらっしゃるのが不思議です。
これもまた夢のようです。
そして高田先生の写真展に行かれたりといろいろ素敵な時間があったんですね。
最後の絵とお写真も素晴らしいです。
次回作の絵も楽しみにしています。

チャーリー69 様
ありがとうございます。
こちらに来て36年。盛岡の後輩が訪ねて来たのは初めてでした。
ものすごい距離と過ぎた時間、さらにあの震災を経ていて本当に不思議な再会となりました。思いがけずに昔と同じテンポで話をして、さりげなく別れました。そのひとときは砂像や砂丘の営みくらい 不可思議なことでした。ふわふわと生きていたようで、実は自分の立ち位置を決めていたのがまた不思議でした。
チャーリーさんとも不思議なリンクですね。きっと会える気がします。
そのときはよろしく。がんばって作品描きます。個展にいらして下さいね。

こんにちは。ん?こんばんはだね(笑)

今回こちらへはnikoちゃんもずっかちゃんも既にいらしてたのね。ご無沙汰しちゃっててごめんなさい。でも、元気にしてます!

こちらのブログを拝見するたび、まだお会いしたことこそないけど、トトロちゃんの元気そうなお姿に私は元気をもらっているんだなぁと感じました。

いつものアトリエの子どもさんたちと一緒のトトロちゃん、ちえこさんのようにお友達と一緒のトトロちゃん、どこかへ訪問されてその感動を伝えようと写真に写るトトロちゃん、いろんな瞬間のトトロちゃんから、その温かい笑顔から、元気をもらっています。

元気でいてくれてありがとう。
これからも元気、元気でいてね!

なんだか突拍子な感じだけど、ありがとうを言いたくなったポキ☆より

ポキ☆っと ちやん 様
いつもありがとうございます。
渡り廊下みたいに 皆さんがフッと立ち寄ってくださるから「あっこのこと 書いてみよ!」と、気持ちの窓が開きます。
写真うつりはいい方のトトロですが、みんなのお顔も見たいなー、と思うこともあるのよ。文は人を表すからなんとなく想像しています。

ちなみに どんより疲れ顔のはアップしてないわけ。笑
演技もしていません。子ども達とのあれこれは本物の自然体。
見て元気回復して下さい。お役に立ててうれしいです。
こちらこそ ありがとうですよ。まだまだ11月。お元気でね。

 すっかりお世話になりました。
 ずっとぐずついた天気だったのに、
再開を祝福してくれるように爽やかな
青空が広がり気持ちのいい時間が過ごせました。
ありがとうございました。
 トトロさんは、高校時代と少しも
変わっていなかったけど、
私は一回りもふた回りも大きくなり、
ととろさんは口にこそ出さなかったけど、
ちょっと驚いたような様子だったかな・・・フフフ

帰りの車窓から、里山と集落が見え、
ととろさんの絵はこういう中から生まれてくるのかな
と思いました。ほんわかと暖かい感じがしました。


 

ネコバスちえこ 様
ありがとう!!(*^-^)
いきなりの再会に、自分はどんな反応なのかと思っていたけれど、あの部活の部屋で放課後に会ったような自然さで びっくりしました。
砂丘も青空も気持ち良く お・も・て・な・し をしてくれて、時を超えた時間をすごせました。ただ一つ残念なのは おいしいものをごちそうできなかったこと。だから またいらっしゃいね。
ネコバスちえこも ちっとも変わっていませんでしたよ。
会いに来てくれてありがとうございました。ふるさとによろしく!!

私もこの夏、学生時代の友人と久々の再会を果たし、懐かしくも楽しく、お互い年輪を刻んだ顔の向こうにある様々な年月を感じ合う時間を過ごしました。
玉手箱・・・秘密にしておいて、軽々しく開けてはならないもの。
でも、たまにそっと開けてみるのもいいものですね。

いろんな境遇の子供達と向き合い、多くの方との触れあいの中から、あんなに優しい色が出てくるんですね。
藁葺き屋根に柿の木、機械化される前の田んぼ、私の子供の頃から急速に失われていった風景、懐かしいです。

りんふう 様
ありがとうございます。
また 風がふいています。寒くなりましたね。
この度の彼女の来訪はあまりにも突然で、かえってそれが年月を超えた玉手箱の全開となりました。経てきた時にも言及せずに、何も変わらない芯のところで明るい再会となり、自分の顔は見えないからお互いの顔に浮かぶ年輪の証さえも見えなくなりました。セーラー服のまんまでしたよ。
たまには 開けましょうかね。玉手箱。
こんな風景はこちらにはまだ 残っています。大部減りましたが。
子ども達の姿は自分の頃そのままに描いています。いい風景です。

久しぶりにこちらにお邪魔しています
なんだかいろいろとあったようななかったような…


柿の実のなる夕暮れの風景
優しい色が重なって、二人の笑い声が聞こえるようです


人との出会いは奇跡です
宇宙の中のほんのひと時、でも長い一生のなかで出会えることの奇跡

トトロさんはそんな出会いを大切にされているのでしょう
ちえこさんとの再会の時間が暖かく流れていたのを感じます
本当に学生時代の友人とは、あっという間時間を飛び越えられますよね

お二人の笑顔にほっこりしました


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