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2013年9月24日 (火)

夢街・水辺のコンサート・・その1

9月22日。その日は晴れた。

湖畔に集合した裏方スタッフのそのまた裏方、「チームアトリエ」は全員いつもの黄色いTシャツで、現代版二十四の瞳のように並んだ。
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来るはずだった健太君はメンバーの中で真っ先に申し出たのに、前日から熱を出してしまい、妹のとも子ちゃんが参加。レギュラーだった高校生の成美ちゃんと中三の大介君の姉弟も部活で、代わりに一番小さな三番目のほのみちゃん急きょ参加。人数に穴を開けじと小学生の妹達が代わりにかけつけて、大きい子たちが「ホー」と感心。四国からも大学生のさやかちゃんがこのために帰って来たし、県中部の倉吉の駿君も当日駆けつけて来た。そして学生服の似合うあの中一の「耕平君」デビュー。心なしか何人かの顔色がすぐれない。
1309242(☆みんなで運んだ木のベンチを設営中。はじめてこの島に1000人の人がやって来られる。)

実は前日の夜のリハーサルにメンバーの大半が現地に集まり、ロケーションの確認と施設の設備などを確かめたときに、すばらしい演奏のリハーサルの最後に、BOM!!というすさまじい音とともに電気が飛んだ。音響さん、照明さん、リーダーのボス、大人の裏方スタッフ全員が円陣をつくり,深刻な様子。子ども達も私も何だかわからず不安な面持ちで固唾を呑んだ。ボスがステージに上がりマイクで説明をする。「電気の容量に従って、いろいろなことを試していましたが、思いがけず数字の容量よりも演奏の情熱がクライマックスになると上回りがちになり、電気容量が足らなくなりました。今夜一晩かけて対策をします。復旧の時間がわからないので子ども達は帰ってください。」

一同ざわめきつつ、大学生や大人の顔を見上げる。工学部出身のSさんが,子どもにわかるように説明してくれる。だれもトトロ先生には電気のことは聞こうとしない。真っ暗な橋を渡りながら、「ここに明日の朝みんなの灯りを設置するんだよ。」と元気づけてみるけれど、うつむいて暗い湖面を見ながらトボトボと並んで渡る。「いいことの為のアクシデントなんだよ。本番じゃなくてよかったよ。」と言ってみる。「そうそう。」きょうかちゃんが肯く。みんなも「だな。」などと声を出す。

何しろ毎年誰もやったことのない場所で、故郷再発見をテーマに何の援助もない頃から、ハイレベル・ハイリスクに挑戦しては、大きな感動を残して来たボスのコンサートだ。その裏側では必ず事務所のアトリエ部門の子ども達がトトロ先生と一緒に小さいけれど懸命な仕事で裏方の一役を果たしていた。まるで小人の靴屋のように。
「みんな聞いて!今年の暑い夏に、ボスは音楽を編曲し、メンバーと練習し、プロの人達にアタックし、地元の太鼓連を探し出し、全体をつくり、看板も全部手作りして、トトロ先生の描いた絵でポスターやプログラムを創り、市民のみなさんやたくさんの方から協賛金を集め、今年5回目でついに県や市からたいしたもんだと助成金をもらえる仕事を続けて来たんだよ。わかる?」 「はいっ。」 「何のためだと思う?」 「楽しくするため。」耕平君の声。「そうだよ。みんながワクワクとすることで元気になるし、自分の住んでるところも大好きになるから、幸せになれるんだよ。そんなことを20年も続けて来たんだよ。」 「そんなら電気はあしたなおるさ。」 みんながちょっと落ちついた。「だいじょーぶ!」合い言葉を唱えながらみんなを送るともう10時がとっくに過ぎていた。 

やがて耕平君のお母さんから電話が来た。「先生、耕平がリハーサルを聴いて夜空のレーザー光線を見て、先生のおにぎりがおいしかったこととか、電気が飛んでも大丈夫などと長く興奮して家族に報告するものだから、遅くにすみません。とても生き生きとしています。ありがとうございました。」 そっか・・いいおかあさんだな。みんな眠れるといいな。

最後の最後まで灯りをつくった直前のアトリエ教室で、ちょっと障害のある男の子が言った言葉を思い出した。「これで俺も一役だな。行ったとき自分のつくったのを探そうっと。」
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(☆直前のアトリエはみんな絵も描かずに、灯りの傘をつくってくれていた。耕平君が久しぶりに古巣に駆けつけるとみんな大喜び。)

ボスが帰って来たのは明け方に近い深夜だった。もうその日は本番だ。・・・つづく

 

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コメント

おっと、アクシデント発生ですね。
でもボスなら大丈夫ですよね。
それに、トトロさんや子供達やスタッフの方達の頑張りを、
神様はよぉくご存知のはず。
続きが楽しみです。

くまきろり様
ありがとうございます。
昨年はヘリウム風船が飛ばないというアクシデント。今年は電気。
神様は本当に見ていらっしゃるといいのですが・・・・つづく

ビタミンたっぷり黄色いTシャツで裏方の裏方お仕事を
がんばっている姿が目に浮かびます
楽しくわくわくすることでみんなが元気になる!
みんなが自分の住んでいるところを好きになる!
素晴らしい考え方を実行し、みんなにお届けしているボスさんに感動と感謝の気持ちでいっぱいです。
電気は明日なおる!子どもたちの素直な言葉もとっても嬉しいです。
いよいよのコンサートつづきを楽しみにしています

ずっか様
ありがとうございます。
ビタミンTシャツ軍団の運命やいかに・・・。
トトロもこの夜眠れず朝を迎えました。

子ども達 ワクワク ドキドキ ハラハラ トボトボ。・。・。・。・
朝。・。・。フムっ・。・。ワラワラ。。そして上の写真になるわけです。続きは土曜くらいになりますかね。

☆結末をご存じの方も ここではまだナイショに願います。m(_ _)m

現代版24の瞳(ちょっと瞳の数が多いようですが)の後ろには、きっと参加したくても出来なかった仲間達も並んでいるんですね。背後霊じゃないですよ(笑)
長い準備期間と沢山の人の努力や協力を積み上げてきたのですから、結末は絶対ハッピーなはず。
信じてますよ~ がんばれチームトトロ!

りんふう 様
ありがとうございます。
実は橋の灯りの写真が金曜日にならないと届かなくて、ルポ形式にしています。でも決して大げさな作り事ではなく、ここまでも これからも 真実をお伝えします。そうですね,参加したかった子はもっとたくさんいました。お家の方の許可がおりなかったり,部活の遠征がはいったり、ちょうどいいタイミングってなかなか難しいようです。
さてさて どうなりますか・・・・お楽しみに~~~~☆

我々を楽しませてくれたあのステージ、
その裏では沢山の苦労、アクシデントがあったのですね。
それでもあんなすばらしいステージを作り上げ成功させる努力、すごいですね。
また、スタッフ・メンバーの団結力・絆あってのものなのでしょうね。
自分もちょっとしたことでめげずに、もっと頑張らねば!!

ファー民 ケイタ 様
今ココログの中では、リアの出会い物語りにみんな感動しています。
結末はまた後編で詳しく書きますね。
何事も種撒きと管理水やり、そしてアクシデント。それを上回る愛と情熱が実りをもたらすような気がしますよね。そんなことをお伝えできればとお招きして 本当に良かったです。
あのシーンが始まりなんですね。これからもよろしく。

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