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2013年7月22日 (月)

少年時代

空はすっかり夏の雲。子ども達の夏休みに合わせたように、ジリジリとした夏の匂いがする。

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まだあと2、3日学校のある子と夏休みに突入したての子が入り混じり、キュキュッとひきしまった子ども達の日焼けした腕が勢いよく絵を描くアトリエ。どんなに疲れた感じのときも、ソプラノで「こんにちはぁー!」と言われたとたんにシャキッとする私。

もつれ合うようにしてみんなで色を塗っているのは、5月に私が東京のサザエさん美術館でおみやげに買ってきた「サザエさん塗り絵」だ。新聞紙大の紙一面にサザエさんの全巻から抜粋された部分と塗り絵の為に長谷川町子先生が書き下ろしされた面白イラストがギッシリなのだ。よくよく見るとストーリーもある。遠視の私はものすごく離さないと見えにくいから、定位置に置いて、「手の空いたときに塗ってね。」と言っていたのだ。まるで夏休みに塗ると決めていたように男の子たちがダンゴになって楽しく塗っていた。ついこの間までよくケンカをして泣いていたのが嘘のように今では親友。

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この時期中学生は総体で運動部の子はなかなか来にくいけれど、それでも毎週土曜日クラスは二つとも大盛況となる。休み休みでもこうして何年も続けて来るのはなかなかすごいことだ。絵も体力がつくにつれて集中して描けてくる。
とり立てて技術を教えてはいないのに、好奇心のある子はいろんな画材を探し出してきて、「これどう使うんですか?」と聞いてくる。惜しげもなく私の道具を自由に使わせると、うれしくていい絵になる。「いい絵だねぇ。」と言うとますます心が大きく育って、次からはもっと描き込んでいる。借りたら返してくれればいい。どうせ私一人で使ったってみんなに使ってもらったって、さほど道具が壊れたりはしない。
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(山の鳥たちを描いた、せら君)

美大の学生でも小学生でも使う道具を区別しないほうがいい。クレヨンをプロの画家が見事なアートにしているのを見たことがある。「油絵風というより『クレ』というのはもともと油のことだからさ。」と私は子ども達に教える。筆だけで描かなくても、指でも歯ブラシでもなんでもいい。大事なのは道具ではなくて「何を描きたいか。」だ。それには何を使えば一番表現出来るのか、自分で考えるのが楽しいのだ。そうした発見で道具というものが創られたんだから、みんなも使える道具まで発明してごらん・・・なんて言いつつ、やっぱり筆にたどり着いたりしているのだ。とにかく、これはこうしなくてはいけない・・と押しつけている中では創造する力は生まれない。
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(北極のかき氷を描いたはるかちゃんと トランペットの音を描いたゆきなちゃん)

後半の中学生たちに私は一つ報告したことがあった。木曜クラスの画家志望のあの陸君が先日のアトリエの日に「先生、進路を決めました。」と、行きたい大学の方向を教えてくれたのだ。「僕は、特別支援学校の専門教諭になりたいです。もちろん絵は続けます。絵の学校ではなく、そんな子ども達に指導する勉強をしてきます。」
夜、アトリエの玄関の外で決意を語る陸君。「そうですか。2年間そら君を見てくれていて考えたのね。」「はい。」「上から見ずに寄り添える先生になれると思いますよ。あなたはこの頃とてもすばらしくなったから、がんばってね。そして、もうお月謝はいいから来たいときにくつろぎにいらっしゃい。」「ありがとうございますっ。」
アトリエ史上4人目の殿堂入り。高校生が全員お月謝免除になるわけでなく、一生懸命手伝って本人も育ってくれた子のみに今まで私はこうして来た。お礼の代わりだ。その話を中学生達に伝えた反応は、「すごい。感動したー。」だった。決して口が上手でなく、時には憮然とした顔で真剣にそら君に寄り添っていた1年半が彼の進路を決めたらしい。画家の夢は相変わらず持ちながらだ。両方やるとのこと。

何がきっかけになるかわからないものだ。彼も昔は小さな身体でみんなとじゃれ合ってアトリエであそんでいたのだから。ステキな進路の決め方だと思って私は本当に感動した。あとは応援するのみ。

集めていた浴衣は、おかげさまで全国からもたくさん届けられて、25日からの東北の子ども達がこちらで合宿する前にお渡ししてきます。たくさんの方が箪笥から出して大切な浴衣を持って来たり送って下さったり、その姿を想像して心からありがたく感謝します。少しでも、まだ生きることに懸命な東北のみなさんの気持ちが元気になられることを祈りながらおとどけします。ありがとうございました。
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(全国から集まって来た思い出の浴衣)

緑の輝きのような子ども達は、またこの夏ぐんと成長するにちがいない。

 

 

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アトリエ日記」カテゴリの記事

コメント

こんにちは^^ おじゃまします

いつも ありがとうございます^^

子を育てるのは 親だけではないと いつも思うのです
学校もそんな場の一つなのだと思いますが

今の学校の先生方には きめ細やかな子ども達への配慮は
本当に難しい環境になっていると思います

なので トトロ先生のところに 来られる子ども達は
本当に幸せだと思います^^

ヒヨコロ しゃん
ありがとうございます。
いつものヒヨコロ語でも大丈夫でピヨ。
一番育つのは何を隠そう このトトロ。
生意気な大人になりかけちゃあ 子ども達から真の生き方を見せてもらって反省してます。
持っているものが お店で買えない物ばかりの子ども達は 懸命に生きて見せてくれます。

やはり専門の先生を増やして、本気で支え合うのが 支援教育というものじゃないかと 陸君とも何度も話したんです。その道を選んで進もうとした彼の決心にトトロも少し元気が出ましたよ。
暑いから 気を付けて下さいね。

 陸くん、あっぱれ。これはもう、運命的な出会いですね。
 きょう、NHKの番組でさまざまな学習障害を紹介していました。学校というシステムが合わない子どもたちが増えているということで、これはもう子どもたちが悪いっていう考え方を変えなきゃいけないなぁ、ひとつの性質、タイプというもので、障碍と言ってしまってはいけないのではと考えていたところです。
 陸君には勉強して、ぜひそういう特性を持った子どもたちが生き生きと学べる環境を発明してもらいたいです。LIFEって、人生という意味もありますね。このお話を聞くと、市展の絵もなんか象徴的にかんじますね。

うわ~!陸くん!! 応援してますよ~!(゚▽゚*)

うちのPも、いよいよ資料取り寄せて、本気の夏が始まりました。
うちじゃ、相談する相手も先生もいないので、ほんとに手探りで進むしかないんですけどね。
おんなじ受験生です。
二人ともファイト!

浴衣は、お役に立てなくてすみませんでした。
楽しい夏祭りに夜になりますように。
トトロ先生も夏バテしないように気をつけてくださいね。ヽ(´▽`)/

アヤドン 様
運命 運命。
なんか 気のせいかとも思っていましたが、アトリエの卒業生達 福祉や病院関係が多いですね。トトロの杖も役に立っているのかな?
とにかく お互いの役に立ちつつ、自分の力も発見して生き生きとしたライフステージを目指してほしいですね。決して人目を気にしていい子ぶるのだけはやめてね・・。と言っています。ぶらなくても 充分いい子達なんだから。みんなちがって みんないい。です。
今日はありがとうございました。また よろしくお願いします。

くまたろう 様
ありがとうございます。陸君にコメ見せます。
私もまさかのびっくりでした。アトリエで身につけたことは絵だけじゃないんですね。Pちゃんに限らずみんな孤独な戦士です。頼るのは自分だけ。トトロもPちゃんを応援してます と お伝え下さい。
くまたろうさんからいただいた 信州のハーブ、ちいさな布袋に小分けして 浴衣に添えました。ちゃんと共演してますよ。
そちらも皆さんどうかお元気で しばしの暑さを乗り切りましょうね。
ニャンりくちゃんにもよろしく!!

子供たちのソプラノの声にシャッキとなる先生が想像できて
思わず笑ってしまいました。私もシャキシャキの夏休みです
子供のころ…サザエさんといじわるばあさんをヨレヨレになるほど読んだ私は、
サザエさんの大きな塗り絵にワクワク
素晴らしいお土産ですね。みんなと一つのことを一緒にできるって最高です!
道具のお話も頷きながら読みました。
陸君の進路のお話に胸打たれました。
上から見ずに寄り添える先生
先生、、、先生の言葉は優しさでいっぱいの気持ちになります
陸君、頑張ってください

ずっか 様
ありがとうございます。浴衣の写真の中に見覚えのあるものが見えますか? ニコちゃんの愛知県やずっかちゃんの横浜から 浴衣の入った荷物が届いたとき どんなに元気が出たことか。受け取って お渡し出来る幸せ。トトロが一番いい思いをさせてもらっています。
ソプラノの声に心のセンサーが反応して シャキシャキと背筋を伸ばす毎日。ヘトヘトかシャキシャキのどっちかしかありませんよね。をたのしみにしていて下さい。横浜生まれのお母さんたち アトリエにもふたりいらっしゃいますよ。いーじゃん!!
皆さんお元気でいい夏を!!

陸君、素敵な先生になってくれるといいな。頑張れ~!!

人から見て少し変わって見える子たちは、今の社会の中で生きることがなかなか難しくって大変です。

特に、学校という集団の中では。そんな子供たちを支えて、力になってあげてほしいと思います。

陸君、進路決めたんですね。
きっといい先生になれると思います。
そして、素敵な画家さんにもなれるでしょう。

浴衣もたくさん集まりましたね。

また元気をいただきました。
ありがとうございます

キャサりん 様
ありがとうございます。陸君にも伝えます。
ちょっと 変わってると思われる方々が 歴史を塗り替え 文化を築きアートを生みだし 社会に貢献しているのも また事実です。
変わってないって なんだろう。みんなと同じってなんだろう。アトリエでトトロはいつも そう思います。だってみんな違う絵なんだから。そしてホントにどれもいいんだから。
陸君にはがんばってほしいものです。あと5年待ちましょう。一人の変わり者の素晴らしい先生が誕生するはずです。
ヽ(´▽`)/

くまきろり 様
ありがとうございます。陸君にも見せます。
進路を決める高校3年生・・・・って 懐かしくも 息苦しい時代ですよね。でも 彼に伝えています。「変更あり。臨機応変オーケー。休憩あり。一番は健康、あとは全部 愛。」ってね。トトロの巻物です。
でも 彼は やってくれると思っています。
浴衣も袋を開ける度に グッときています。
カブトムシの夏・・。どうかお元気で。

いつものように生き生きとした子供達の様子、
トトロ先生の「これはこうしなくてはいけない・・・押しつけている中では創造する力は生まれない」に納得です。
自分の目標を決めてそれに向かっていこうとしている陸君、夢が叶いますように。
将来、子供達が陸君の絵をより陸君らしいものにしてくれますように。

りんふう 様
ありがとうございます。 o(_ _)oペコッ
きっと あれがあったから こうなって あの為に あれに出逢って・・と トトロのように何百年も生きちゃうと( ´艸`)プププわかるのですが いつもリアルで前のめりの若い頃は ひたすら前へとがむしゃらなんですね。そこが清々しいのですけど。
おっしゃるように きっと 画家の陸君誕生の為に 命がけでアウトサイダーの子ども達から学ぶことは 大きいのだと思います。あらゆる面から楽しみで、希望を見いだしているトトロなのでした。

こんにちは(^^)

仕事で機械設計をやっています。
何かをつくり始める時、最初にやる作業が「スケッチ」なんです。
紙に大まかなアイディアを描いてあれこれ考える。
頭に描いたものをどうすればうまくカタチにできるのか。
ネジの位置、使う部品、材質・・・。

分野は違えど、やってることは「絵」と同じなんですね。
自分の中の「イメージ」を何で、どう表現するか。

子供たちは筆とキャンバスで、絵を。
私は定規と図面で、機械を。

自分の中のイメージがカタチとなって外に出るって、
すっごい快感なんですよね(^^)/

じっきー 様
ありがとうございます。
前頭前野のフル活動で 思考 創造 などの力を思い切り育てていれば、ひらめきのある仕事の出来る人にも、思いやりのある人にもなるように思えてます。アトリエのOBたちの中にもじっきーさんのような仕事で図面に向かう子もいて、「アトリエのときと似てる」と言います。
子ども達にイメージをカタチにする快感を存分に味わってもらいたいトトロです。

こんばんは♪

大雨のニュースを耳にすると、そちらは大丈夫かな~?と案じております。一時でしたが、今朝はこちらも土砂降り&雷で今日の水泳教室は急きょ中止。子供たちには残念な初日となりました。

さて、アトリエのお子さんたちも元気いっぱい!
その元気が伝わってきます。水泳教室が中止になったのでその足で本屋さんへ行ってみました。

「どんな本に出会えるかな~?」と店内をグルグル…
たくさんありすぎてすごく悩んじゃった(笑)

そしたら…
本屋の一角にジブリ特設コーナーを発見し飛びつき物色!
たっくさんあるのであれもこれもと迷いましたが、今回は3冊選んでみました。

ちょこっと私も読んでみたいので、ちびっとお待ちくだされ~☆

お盆前には猫バス便にて…

PS
頼もしい先輩 陸くん
殿堂入りおめでとう!

夢も、青春も、若い時こそ情熱的に貪欲に頑張ってほしいと思っています。これからの陸くんの活躍にエールを!

ポキ さま
本当にこれだけ全国にお友達の輪が広がると どこで災害があっても心配してしまいますよね。こちらは 予報よりも軽く通り過ぎました。おとなりの島根県や山口県は大変なことになってますが。お見舞い申し上げます。
そちらの金魚ちゃんもこちらのチビッコ画伯達も 無事に楽しく夏休みを送って欲しいですね。 なになに?ジブリの本? なになに?
楽しみにしています。
陸君にもエールをありがとうございます。
みんなして 夢を叶えましょう お元気でね。

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