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2013年6月 5日 (水)

水の流れに

しっとりと六月。家の前の川辺に紫陽花が咲き始めた。束の間の晴天続きによろこんでいたら、初夏の陽気に早くも夏バテぎみ。今日も青空がまぶしかった。

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毎年6月の市民美術展には大きな絵を出している。ここに住む高校生以上の人なら誰でも出品できるのだけど、審査を通らないと展示してもらえない。プロもアマも関係なく年に一枚それだけの為に描く趣味の方達の多いこと。そして上手いこと。

高三になった陸君はこれで三度目の挑戦だ。一年の時は初出品でユネスコ賞を受賞。2年目は苦しんで、それでも入選。3回目の今年も、もしかして最後かも知れない市展作品にとりくんでいる。

「先生、もしも出さないとどうなるのですかね。」
「どうもならないよ。ただ自分で自分をヘナチョコと思うだけよ。画家になんかなれないしね。」

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かくて、例によって二人して学校と仕事の合間にギリギリのラストスパート中だ。アトリ エに来ると絵が描けるという彼が毎日来るから、師匠としては自然にがんばらざるをえなくなって、おかげさまのパワーで描いているというわけだ。(陸君ありがとう)。

昨日学校の何かで昼からお休みだったらしく、はりきってやって来た彼に「ちょっと外に運んでくれる?」と私。もう少しで完成しそうに見える私の作品を洗い流す手伝いをしてもらった。去年もそれをしたから、「えーっ?」と言いつつも手際よく手伝ってくれた。
「さて、これでいい絵になるのよ。」
「もったいない。」

どうしても表面へと描き足してしまい余計なものが増えてしまうし、格好を気にしてしまいそうな気持ちを洗って流すというわけだ。水彩なのにしみ込んだ基本の色は落ちず、ちまちまと描き足したよけいなものが洗われていく。

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「これがホントの(水に流す)ってもんよ。」
「なーるほど。」
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通りすがりの人達が「キャッ。」とよけていく中を筆でごしごし描くようなこすり方をしている師匠とホースで加減している弟子の夕方風景。
乾くまでは彼の絵を見ていた。1メートル離れて逆さまに見るとすごくいい。今年はアトリエの小さな焼き物の動物たちの世界だった。
「小学生の時、あれをかきましたよね。」なんていとしそうに一匹ずつ手にしている。たくさんの思い出と重なるアトリエのモデルたち。
(そうか、もうあと半年くらいで彼の旅立ちがはじまるのね。)
なんでも教えたくなった。

「先生、プロとアマの違いはなんだと思われますか?」
「苦しみの過程さえも喜ぶのがプロ、達成もせずに苦しむのがアマ。」
「どう?上手でしょ?と思うのがアマ。絵でなにを届けたいかがあってホントに届くのがプロ。」なんか煙にまくような答えだったけど、いつでもアトリエの教室でさえ,苦しみながら楽しんでいるには違いないから。
「なるほど。俺はまだまだだな。」
彼の絵は優しくなってきた。実は私もまだまだなんだけどね。(^-^;

メドが立ったので予約しようと額屋さんに行くと,私の心の師匠の坂尾先生が店におられた。画材屋さんなのに画家であり、昔は数学の先生だったとか。市展の役員なので無監査作品を出さなければいけないのにまだまだ忙しくて出来ていないとのこと。
1306055 (画材店がある智頭街道と鳥取市のシンボル久松山−きゅうしょうざん)


1306056_2(ずっとお世話になっている坂尾画材店の店先)

「師匠、がんばってくださいね!!」家で炊いてきた豆ご飯を差し入れした。

こうしてお互いに尊敬する師匠と愛しい弟子の関係は私の場合あちこち幅広く、尊敬する人はみんな師匠で、何かを学ぼうと来て下さる人は弟子になってもらう。時には子ども達も師匠となり、その都度教えられたり,教えたりしながら、留まることのない流水のような気持ちでいたいと思う。

今日も留守中のアトリエに陸君が来て、制作を進めて帰ったあとがあった。
1306057清流のような清々しい弟子達を見習おう、と思った。

 

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コメント

お~陸君!ふぁいと!

エノッチさま
今日も学校が終わってからやって来ます。
コメント見せたら メラメラと燃えて張りきる姿が浮かびますよ。
サムライ 陸君に 応援ありがとうございました。
ついでに トトロにも・・・。

絵を洗って仕上げるなんて、初めて知りました。
水に流す・・・ですか、深い!
陸君、納得のいく絵が描けますように。
彼の手紙、パッと見た時絵みたいに見えました。
(よく見ると失礼ながらあまり上手な字ではないですね、でもなぜかそう見えたんですよ、不思議)

りんふう様
ありがとうございます。(=゚ω゚)ノ o(_ _)oペコッ
文字も絵からはじまったものが多いですから。(◎´∀`)ノ
いつも欠席の連絡やメッセージはなるべく本人がファックスで と言っています。なんだか大きさやいきおいで 気持ちが伝わるから。メールの文字だと本心が読み取りにくいのですが、最近ファックスのある家が減ってきましたね。陸君の手紙が絵に見えたとしたら、見えた人も陸君もアーチストです。//水に流す方法は勝手に生み出したので、正しいのかは判りませんが 絵が深くなるのは事実です。いろいろと水に流して生きたいこの頃です。

陸くん、頼もしいし、たくましいですね。
絵を洗うのには驚きです。
水に流すと本当に必要なものだけが
残るんですね。あとは真実かな。
紫陽花もう咲き始めたんですね。。。

くまきろり 様
紫陽花は小さな花があつまって おおきな丸い花になるから好きです。
紫陽花という漢字も美しいし。
あるとき 水をこぼして拭き取ったら 絵がわざとらしくなくなって、それからは時々洗うようになりました。初めに勉強じゃなくて、何でも初めに経験のやり方です。陸君も自分だけの世界を究めて いい絵描きになるかも知れないと トトロは思っています。小さい頃からあきらめず しかも面白い絵を描く子でした。
ありがとうございました。水に流しつつやりましょう。

足すだけじゃダメってことですね。
押したり引いたり、時に洗い流したり? (*´ω`*)

陸君がんばって~♪
・・と、そっと遠くから応援してまーす。(*^^)v

くまたろう様
ありがとうございます。つい先ほどまでアトリエにいましたよ。
明日は本当の教室日なので、これで5日連続です。
よほど 絵が好きなんでしょう。黙々と描いて帰ります。もちろんトトロディナーも平らげて。
たまに そちらの ニャンりくちゃんのアップも見せています。
洗い流すとちょっとだけ過去の本物が現れて、またスタート出来ます。
洗いたいものだらけですよね。こちらも真夏日。どうかお元気でね。

陸君のメッセージとっても素敵ですね
クマさんが‘おやつありがとう’って言っています
トトロ先生と陸君の会話も、読んでいて心が洗われました。
頑張ってください!

ずっか様
細かいところまで発見して下さって ありがとうございます。
私が不在の日だったので お腹が空いたらいけないと思って手作りおやつをたくさん置いておきました。すっかりなくなって いい絵がはかどっていました。小さいときから みんなを見ているので高三になって別れが近づいてくると なんやかやと用事を作ってアトリエに来る子がいます。
まるでスキーのジャンプ台のスタート小屋のようです。
トトロもいつもポジティブになっていないと 彼らを送り出せないから頑張れます。一号二号三号ちゃんの存在と同じですね。(・∀・)イイ!

 紫陽花の季節になりましたね。。
  以前は、「墨田の花火」が好きでしたが、最近は昔ながらの、青系とピンク系が心和みます。。^^
 画家さんの作品の仕上げるまでは、大変なんですね。水洗いで、手直しが出来るんですね。ビックリ!
 陸くんの眼差し、ステキですね~学び、表現する目力を感じます。
 メモも、大丈夫です。がんばります!!の文字に力が入り気持ちの表れのような。。作品が楽しみですね。
 トトロかおる先生の作品も気になります~(^◇^)

 追伸
   お部屋の汽車も楽しませて頂いてます♪~
   頂いた、絵葉書の中にも、ありましたね。お気に入りです。
     (^^♪

アナログさま
ありがとうございます。
そうですね、少し疲れたときは青系やピンク系がホッとしますね。
目力りく君は さっき帰りました。いろいろと悩みつつ、サムライらしく進んでいます。3年になると試験ばかりで大変らしく。
二人の作品 また日曜に仕上げます。おたのしみに。
体調いかがですか? 壁画でくつろいでくださいね。

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