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2013年3月17日 (日)

おめでとう

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行きつ戻りつ三寒四温の春先に、ことしもアトリエに仲間入り希望の新小学一年生たちの面接と、厳しい冬を越えた受験生達の報告の日々が訪れた。どんな時にも咲く花のように子ども達がくり返し見せてくれる季節めくりの風物詩だ。

一人の女の子は県外から月一度通ってくるお兄ちゃんに付いてきては、いつもアトリエに少し片足を入れちゃあ「ダメダメ、向こうで待っててね。」と言われ、「フンッ、アトリエなんか関係ないもん。」という顔で挨拶もせずに公園に走って遊びにいっていた。鳥取にお住まいのお祖母ちゃんはそれはそれはお兄ちゃんを可愛がり、月に一度孫が泊まりがけで土曜のアトリエに来ることを申し込まれたのだった。もう2年が経ち、その妹が小学校へ入学することとなり、先日は珍しくお母さんが送って来られた日のこと。

「あのー、実はこの子も習いたいと言っているのですが・・・」と、妹を連れてアトリエの入り口にいらっしゃる。見るといつもの「フンッ!」とした顔じゃなく、物言いたそうな彼女の目に、「こっちへいらっしゃい」と、お母さんから遠ざけて聞いてみた。
「本当にあなたがここでお絵かきしたいと思ったの?」
「はいっ!」
「じゃあ、あそこに居るのはここの社長のボスだからご挨拶して下さい。」
「よろしくおねがいします

ちいさなカラダを腰でおりたたんだようにお辞儀して、ニッコリと顔を上げた。「りっぱなおじぎだなぁ・・。」 ボスは驚嘆の声を挙げ、私は喉の奥が熱くなって泣きそうになった。すぐに面接合格にして「おめでとう。」を伝え、中のみんなに紹介し、みんなとヨロシクを交わし小さいイスにかけさせた。
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お母さんがこっそり伝えてくれたところによれば、お兄ちゃんのことばかりみんなが一生懸命で、妹が絵を描きたいと言ったら家でお兄ちゃんにおしえてもらえばいいと思っていたら、お母さんやお祖母ちゃんではダメだと判断したらしい彼女は、お父さんが入っていたお風呂に入っていって、「わたしもおにいちゃんの行ってるアトリエで絵をならわせて。」と頼んだのだそうだ。びっくりしたご家族は妹のことをあんまり考えていなかったと気づき反省されたとのこと。
たちまちうれしそうにクレヨンで描きはじめた彼女にお兄ちゃんが言った。「道具は僕のを使うといい。忘れる度にお祖母ちゃんが新しいの買ってくれたからいっぱいあるし。」
かくてどちらが幸福かは言うまでもない。
見ていたみんなが口々に言った。「よかったなぁー。一緒に描こうね。」
 

こうして、あちこちから面接や体験アトリエにやって来るピチピチの一年生見習いたち。あんまりうれしそうで疲れも飛んでしまう。

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高校の合格報告のマサト君にもゴールとスタートを祝ってグリコをお花に添えて手渡すと桜のように笑った。

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土曜日は一浪して目指す四国の大学に合格、旅立つサヤカ先輩に手作りのフラワーアレンジを贈ってみんなして乾杯をした。妹のなっちゃんも同時合格で高校生になる。

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「なんかうれしくてさみしいねー。」
小学生達はおめでとうの拍手をしながら、三月の特別な空気感を何回も味わっている

みんな元気でいい人生を。おめでとう。いってらっしゃい。

 

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コメント

ごぶさたです。その昔うちの子が受験につまづいたとき、かおる先生が大きな花かごを持ってこられて「再チャレンジおめでとう」というカードとイラストを下さいましたね。あとで聞いたら合格した子には小さな花束だったとか。どんな子にもおめでとうをして下さることに感謝でした。再チャレンジおめでとう、というカードは宝物です。いつも誰にでもおんなじにやさしくて、中途半端を叱って下さって、ほんとにアトリエで育てていただきました。小さな女の子幸せそうですね。みなさん「おめでとう!」

PTA 様
ありがとうございます。
心ざわめくこの季節、色々なスタートラインがありますが決して競争じゃないことを ことしもみんなに話しています。子ども達の素直さで救われるコトの多い日々です。育っているのは私のほうかも知れません。
どうか 皆さんお元気で。

春…ですね

くまきろり 様
やっと 春・・・・ですよ
コメつぶ ありがとうございます。

 うちの子も、お姉ちゃんがうらやましくてうらやましくて、小学生になるのを待ちわびていた1人です。まだ幼稚園のころ、先生に「椅子が足りないからダメ。」と言われて、「テーブルの下でいいです。」と言って、テーブルの下からでもちゃんとジュースが飲めるようにストローをつないで超ロングストローを持って行ったこともありましたね。「ダメ」から始まる物語がいくつもありますね。

アヤドンさま
そういえば Sちゃんはめでたく面接みたいなことをして「入学オーケーですよ。」と告げたらハラハラとうれし涙をこぼして喜んだのでしたね。テープでつないだ長いストロー覚えてます。だから,下の子たちは、いつもうれしそうなんですね。今では高2になろうとしているSちゃんのようにこの子達もステキな花を咲かせて欲しいです。私は花畑のおばちゃんっていうことでカラスの番でもしましょうかね。

ゴールとスタートとそれぞれが新しい環境へ旅立つ時期ですね。
うちのかっぱ娘も写真の新入生のように初々しく周りのお兄さん、お姉さんの横でちょこっと座って絵を描いていた姿が思い浮かびます。今は先生にもよく言われる座敷わらしのようにアトリエに同化しておりますが(笑)

子供も成長しつつ親も一緒に成長しているのかな~、最近子供の成長は早いが親は成長より老化が早いと感じている母です(笑)まだ早いか・・・( ̄ー ̄)ニヤリ

かっぱのおやこ様
老化という言葉を使ったら100円アトリエのブタの貯金箱に入れるんだよー。なんてね(○゚ε゚○)。
成長あるのみ、にしましょ。
一年生がちょこんと入って来たと思ったら、いつの間にか私の相談相手になり、やがて旅立ちます。さみしいけど、小さな芽がまたのびるから休み無くくり返します。座敷わらしたちもいっばいいるし、みんな元気でうれしいことの多い人生を!! と祈り続けます。お母さん達もですよ。

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