サンタの秘密
特急の車窓を眺めているかのように、まわりの風景がゆっくりと過ぎていく今日この頃。
不思議なことに絵はどんどん増えてきた。12月の声を聞いてから描き始める作品のほうが一年間でこれまでに描いた数より多いのは、毎年自分のことながら不思議だった。
ところが15年目の今少しだけ謎が解けてきた。
人はどんな時に、とてつもないエネルギーが集中して湧き起こるのかという謎だ。密かに楽しみながら自分の知恵と財布の中身を殆ど使い果たして毎年サンタの手下をしていると、あり得ない歓びにめぐり合う。手渡された手作りの紙袋をずっしりと手にした子ども達は、開けずにしばらく袋を抱えたままニッコニコと心をあたためる。
「もしも万が一いらないと思ったらサンタさんにお返しするから、失礼のないように私に持って来てね。」
いまだかつて返されたことはない。
中1の女の子が入っていた毛糸の靴下を手にして聞いてきた。
「先生、サンタさんからいただいたものをお祖母ちゃんにあげたいんだけど、いいのでしょうか?」
「いいと思いますよ。サンタさんも喜ばれますよ。でもカラフルで派手じゃないかな?」
「大丈夫。あたたかそうだから。」
ガサゴソ開けていた他のみんなもそのやりとりでますます気持ちがうれしくなったらしく、本当に楽しそうな笑いと温もりが時間を包み込んでいる。
3日ごとにその空間を一緒に味わえる12月って、なんだかすべての疲れが吹き飛ぶようで大きな力が蘇るから、今まで一月の個展に向けてやっていけたのだと気がついた。プレゼントが物としてうれしいのではなく、小さい時から一緒に絵を描いていたみんなと一年の終わりに過ごすパーティーのひとときに、満足感と達成感と連帯感が気持ちいっぱいふくらんで、来年も楽しいことが待っていそうな期待感も生まれてくるのがいいのだろう。
今年はなんのごちそうもなく、あり合わせのおやつにちょっとクリームをあしらっただけだったけれど、「ほら、クリスマスのようでしょ?」 と、いつものローソクを増やしてシクラメンをあちこちに飾ったアトリエは、絶えず流しているゆっくりとしたクリスマスミュージックに夢を彩られて、ゴチャゴチャした粘土作品さえもオーナメントに見えてくる。胸にグッと来る絵本と大笑いする絵本の2本立てを読み聞かせし、全員の展覧会用の作品がそろったことの確認やら、カレンダー展のお手伝いのことやらを打ち合わせしながら、手際よく「ありがとう」のカードと東北へのカードを自由に描いている。
なにを描きなさいとも言わないかわりに、「いいね、おもしろいね。」と見せてもらう。みんなは本当に絵が好きだ。
「先生も楽しい絵がいっぱい描けてきたよ。」と言うと、「よかったぁ。間に合わないかと思った。」と言われた。まるで宿題に気を揉む保護者のようなお言葉。お互いに心配したり励ましたり。
こうして小さく繰り広げられる達成感や満足感、そのための準備の心配り。それらの積み重ねが、巨大なエネルギーとなっていつもの一月に向かえるのだ。毎日となるとあたりまえになって気づかないかもしれないけれど、我が子にこさえるお弁当や毎日の食事や、着ること、学校のこと、将来のこと、そんなことに心を砕く親の皆さんってどんなにエネルギーがもらえることか。

年に一度だけそれを体験させてもらえるサンタは、子ども達のよろこぶ顔が大好きだから、「親ってすごいんだよ。」と伝えたくなりながら、また一年がんばってみようと思うのだった。
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プレゼントをもらった子どもたちが、そのまま小さなサンタになるなんて、やっぱりここには「真のメンター」がいらっしゃるようですね。;:゙;`(゚∀゚)`;:゙
よ~し。わたしもエネルギーいただきました!
来年のクリスマスに向けて、がんばっちゃお!!(v^ー゜)
皆さんの笑顔に、メリークリスマス♪
投稿: 山のサンタ(仮 | 2012年12月19日 (水) 23時36分
山のサンタ さま








すごーい!!! ついにサンタさんから コメントいただきましたよ。
山のサンタさんの手作りの品々があれとあれとは みんな知らずにお礼を書きました。しかも山のサンタさん=○○たろうさん なんて ぜったいに秘密です。ああ サンタの秘密ってなんてステキなんでしょう。
ほんとうに ありがとうございました。心から・・・
真っ白なそちらの山は モンブランケーキみたいなんでしょうね。
サンタは不死身ですが それでもお互いに気をつけてサンタライフを楽しみたいですね。メリークリスマス 星降る夜に・・・・
投稿: アトリエトトロ | 2012年12月20日 (木) 00時05分
ちょっとクリームをあしらって ポッキーをさして、魔法のごちそうのなんて豊かなことか。このブログを読ませていただくとお金の価値感が変わります。2冊も読み聞かせしてもらえるなんて、しかもあの読み聞かせプロのトトロ先生に。みなさんは知っていらっしゃるのかな?かおる先生が20年前に鳥取県東部 中部の公民館や図書館でたくさんのお母さん達に読み聞かせの大切さを広め 実演して あちこちに読み聞かせサークルの種をまいたこと。今では花がさいていますが、一番先に広めたことを本人はおっしゃらないでしょう。だってサンタだから。メリークリスマス***
投稿: すずらん | 2012年12月20日 (木) 14時43分
ヾ(.;.;゚Д゚)ノすずらん様
だからサンタが続いていることってホンモノだと思うのです。イヤー今回はいろいろ秘密が明かされてしまいますね。ありがとうのハッピークリスマスです。
絵本のこと どうしてご存じなのでしょう・・・・?
37歳のとき家庭文庫をはじめてから、何も知らなかったので「鳥取市家庭文庫連絡会」にいれてもらって活動しました。読み聞かせって言葉をおいしく食べてもらうことだと教えて下さった福音館書店の松居直先生や文庫のなかま達。広めて歩いたのは私だけではありません。先駆者はもっともっと以前からいらっしゃいました。一番先にだれが始めたかよりも みんなして今に続いていることってとてもすばらしいと思いますよね。
投稿: アトリエトトロ | 2012年12月20日 (木) 16時22分