フォト
2025年7月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

« 神在月(かみありづき) | トップページ | もうちょっとだけ »

2012年10月21日 (日)

友だちは兄弟のはじまり

「兄弟は他人のはじまり」というけれど、枝葉に別れて年月を経て人間のルーツが広がり、他人のようになっちゃうことを思えば、反対に出合ってから心通わせて他人が兄弟のようになることもまたアリだと思える今日この頃。

障害のために周りの気持ちを読めない子は時として騒々しいものだから、たまにお迎えを早めてもらう。お母さんが迎えに来られたとき、その一年生が孤独にならないために男の子達が見送りに出ていた。お母さんはにっこりして、少しだけ涙ぐまれた。
しっかり手を振ってアトリエの中に入って来た彼らはダンゴのようにからまって、大役の達成感から満足そうにはしゃいでいた。「あの子よりうるさいよ!!!」と叱りながら「おつかれさま」を伝え、(すっかり兄弟みたい・・。)と思った。
1210211

「先生、僕らは大丈夫だから、あの子はうれしそうだからアトリエに来させてあげてよ。」と6年生。「ありがとね。あなた達さえよければどんな子も大丈夫だよ。」 その会話を聞いていた中3の女の子が、「やさしいね。」とつぶやいてウルッとしていた。
 

昨日の土曜クラスも、前回にいさかいを起こして一人の少年が泣いたまま帰るという、未解決の空気をひきずっていたのに、みんなが来た。少しだけシャキッとした顔で、そのことに触れず、しかし言葉の端々に心配だったことを匂わせつつ。当事者ふたりは消しゴムを差し伸べあったりしているし、周りの子もふたりを見ている。席替えをして二人の距離を少し遠ざけておいた私に、「どうして?」と聞く子のいないことがみんなの気持ちを物語っていた。1210212

いろんな気持ちが子ども達をゆさぶるけれど、お互いに育ち合って、たまに嫌なことやガマンすることもある。それでもアトリエは、どんなときにもやって来て絵を描きたいところでありたいと思った。子ども達の素適さは、いつまでも過去をひきずって人を悪く言ったりしないところだ。未来に向かう力のほうが強いから、端から見れば随分さみしかろう転校生でも、すぐに環境に慣れてあたらしい世界に入っている。たまに前の学校のことを話すけれど、みんなが「へぇーっ!!!」とめずらしそうに聞くからうれしそうだ。私もみんなに東北弁を教えて遊んでみている。「フランス語みたいだな。」と評判だ。兄弟姉妹のようだからたまにはケンカもするんだけど、根にもつことのない人間関係を私はみんなから教えられている。
1210213
1210214


今が一番いい季節だ。米子個展もあと10日。行ったり来たりで秋が深まる。
1210215_2

« 神在月(かみありづき) | トップページ | もうちょっとだけ »

アトリエ日記」カテゴリの記事

コメント

以前一人っ子の我が子がお世話になっていた母です。
いつもブログ拝見しておりました。
今は大学3年になり、県外に出ていますが絵は描いているようで学園祭などで活躍しているようです。アトリエで兄弟のように付き合わせていただき、先生からも叱られたりほめられたりしていた思い出は、息子の宝物です。毎年アトリエサンタからいただいた小さなプレゼントは今でもとってあるようで、先生のエッセイ集をもって進学し出来れば教師になりたいそうです。今日のブログを拝見しあの頃のままであることに感動しました。
先生のご健康をお祈りしています。感謝をこめて。

もとPTA様
お久しぶりです。と言いながら どなたかイマイチわかりません。
でも、アトリエにいらしていた息子さんが輝いて夢を持っていらっしゃるようで うれしいです。けっこう一人っ子も多く、かと思えば上下にはさまれた3人兄弟姉妹の真ん中の子が、アトリエで自分の居場所を確保して長いこと来てくれます。みんな大切に育てられていても、どこかで自分の道を探すようです。義兄弟・姉妹のような心の開けた自然体の関係がいいようですね。コメントありがとうございました。息子さんによろしく。

うちのかっぱ娘もまさに兄と弟に挟まれた真ん中の子で自分の居場所を確保すべくアトリエに楽しく通わせていただいています。

家や小学校とはまた違った自分の居場所があるのはとても素晴らしいことですよね。
アトリエだけの顔をみせていることと思います。

根にもたない子供の時代にたくさんケンカして色々な思いを持つのはいいことじゃないかな(o^-^o)

かっぱのおやこ様
かっぱちゃんは本当に楽しそうに、ニコニコの顔でグングン絵がすばらしくなっています。似たような子が居たなぁ・・と思い出したら北大に進んだアヤちゃん あの アシスタントあきちゃん 三つ子ちゃん双子ちゃんの中の一人・・みんなみんな兄弟姉妹に挟まれた真ん中の子でした。アトリエでホッと一息 自分だけの時間と空間に幸福を感じてリフレッシュされて、とてもいい味を出す子ばかりです。
義兄弟たちの居るフレンドリーな温かさをたくさん絵にしてほしいです。
ケンカしてから仲良くなると いい感じですよ。どんどんやればいいとおもいますね。

 アトリエで会う子どもたちは本当に心が細やかというか、繊細な心遣いができるのに驚かされます。やっぱり絵を画くというのは、そういう細やかなことに気づくという能力が必要なのでしょうか。必要というより、磨かれるのでしょうか。相手の気持ちを考えて行動できる能力の高さを感じます。
 

アヤドン様
心の知能指数 EQは 相手を思いやる能力とか感じる力で、不変のものでなく環境でどんどん高くなるらしいです。持って生まれたIQよりも今必要とされてきて・・・、そんなことはともかく、私がみんなと育めるものがあるとしたら心の力だけなのでして。アトリエの空気がそれを高め合うことは卒業生たちの生き方を見て実証しています。その空気さえ子ども達がつくりだしているのですから、絵を創造することは自分さえ創造するものかと思います。技巧の前に心の力で絵が描けている子ども達。私も彼らから大切なことを学ぶ日々です。
おとなのEQ検査も必要かも( ̄▽ ̄) アヤドンは大丈夫です。

かおるさんの文章もイイけど、此処にコメントを書き込まれる方達の文章がまたイイですねえ。思ったままを気取らず書いておられる姿勢に温もりを感じます。毎回、読むのが楽しみです。

aKose さま
ほんとうです。まったくです。御意です。
「アトリエトトロ宛 コメント同好会」の集まりが ひそかにあるような気がするほど、みなさんの感性の共通点に感動します。
コメントを書こうと思っていただけるようなトトロでありたいものです。

ありがとうございました。m(_ _)m

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 友だちは兄弟のはじまり:

« 神在月(かみありづき) | トップページ | もうちょっとだけ »