フォト
2025年7月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

« おめでとう | トップページ | いのちの日 »

2012年7月10日 (火)

天の川

ほぼ週に一度のブログ更新だから、7日しか経っていないはずなのに七夕をはさんだこの週は不思議な話題満載の日々だった。

1207101

15年間続けている冬の個展に、3回目から毎年お見え下さったあるご年輩のステキなご婦人は今年の一月にもいらして、迷わずモノトーンの作品を買って下さった。彼女は寅年生まれで2年前の個展にいらしたときにそのことをうかがい「もうすぐ100歳の童画ファンの方です。」と辺りの方達と拍手で年女のお祝いをした。

黒い毛皮のコートに美しい白髪のパーマと細いフレームのメガネがとてもお似合いで外国の絵本に出てくるおばあさんのようだった。
私の個展風景をうつした会場スナップ写真には毎年どこかに彼女の姿が楽しそうに映っていた。

 

話は変わり、今から2ヶ月ほど前に、幼稚園の年中さんを習わせたいとの申し込みがあり、「ゆう子さん」という若いお母さんに「まだ早いですよ。」とおことわりをして、そのかわり文通をはじめていた。
小さな男の子が描いた虹色の動物の絵が送られてきて、いつも「ゆう子さん」の手紙が添えられていた。時間を見つけては返事を書き、アトリエ年齢になるまで続ける覚悟でいた。ゆう子さんはパソコンでアトリエの教室を調べていらした初対面の方。アトリエのことも私のことも全くご存じなくたどり着いた方だった。

そしたら昨日、月曜クラスの準備中に彼女が血相を変えて突然アトリエにいらっ しゃった。
「先日、夫の祖母が亡くなりまして形見の中にこれが・・・」と取り出したのは、まぎれもなく私の絵で、サインの日付を見ると2000年の作品。それをお持ちだったのは、あの黒い毛皮のおばあさんだった。ゆう子さんはおばあさんのお孫さんのお嫁さんだったのだ。
いつも「来年もまた来ますからね。」と約束をして下さった絵本のようなおばあさんは、まだ幼稚園のひ孫が将来出合う絵の先生まで準備をして笑いながら旅立って行かれたのかも、と語り合った。
粋でオシャレな形見分けの不思議。

あの孫にこのひ孫にと、一枚ずつ私の絵を探しに来て下さったおばあさんが最後に選んで下さった今年の絵には、珍しく童謡の一節を書き入れていた。海をみつめる少年と子犬に 「いってみたいなよそのくに」という言葉。お若い時分は大きな船で洋行を楽しんでいらしたという彼女のことを娘さんからその時にうかがった。だから今でも海が大好きと。(天国からまた船でおいで下さい!ひ孫さんは引き受けましたよ。)

1207102
子育て航路真っ最中の「ゆう子さん」は、不思議な巡り合わせの物語に少し船酔いしながら帰って行かれた。

 

 
そんなドラマチックなことの後にはじまった月曜クラスは、ふたつのクラスを統合した上に新しい子がひとり仲間入りするという、これまたワクワクするような一大事。

私はみんなにさっきの話をした。
「あのね、人は出会う運命っていうものがあると思うのよ。きっと。」「ふぅ ~ん。」ふたつのクラスはたちまちとけ合い、先日面接したばかりで教室初日のケン君もはじけるような精悍な笑顔。全員5分か10分早く来たから、今日のクラス合体をどれだけ楽しみにしていたかは丸わかりだ。

アトリエの歴史に残りそうな生まれたての統合クラスは、明るくて子どもらしくてとてもとても絵が好きで、はじめての記念写真だというのに肩を組むほどのフレンドリーな2時間が見事に出来上がっていた。

1207103

あれ? そういえば、あのおばあちゃんも「一度アトリエをのぞきたいわね」・・・って言ってらしたっけ。あやしいかも。
子ども達の七夕かざりは天の川に届けますからそちらでゆっくりとお読みください。今頃は大きな船で天の川をゆっくりのぼっておられるのかな? いままでのお礼はいつかひ孫さんにおとどけしますね。

ちょっと不思議で、さみしくて、だけどとてもありがたいオシャレな夏のミステリーだった。
 

« おめでとう | トップページ | いのちの日 »

アトリエ日記」カテゴリの記事

コメント

私の心の中から何かしら大きなものが沢山膨らんできて、あっちで弾け、こっちで弾けしている。言葉に出来ない美しい思いの花が、言葉に出来ないもどかしさを連れて、私の心の中を埋め尽くしている。
だから、なにもコメント出来なくてゴメンね。

aKoseさま
ガマンしていたのに、コメントいただいたら 気持ち良く泣けました。
しっかりと あのおばあちゃんを思い出しました。
私はいつも 良い方に心を飛ばして 悲しくないようにしてしまいますが、本当はさみしいことだらけです。だから この世は美しいのですね。
ありがとうございます。o(_ _)oペコッ

きょうは 水曜クラスのちびっ子達と 差し入れのスイカをいただきました。(=゚ω゚)ノ 

ザラザラした世の中に、ほんとうに珍しいピュアな心の美しさ。
類は友を呼び,個展に集う老若男女は、皆「童心」の童神(わらびがみ)。
かおる童画の展覧会、全国を廻っていただきたいです。絵の教室があるから今はご無理でしょうね。夏は天地が近くなります。亡くなった方の魂が海から帰ってくるのです。トトロ先生はいつまでも生きてください。

「おしゃれ魔女に導かれ・・・」

今かおる先生のブログを読み、涙がぽろぽろ止まりません。
悲しい涙ではなく、とってもあったかい涙。
この不思議なご縁は、おばあちゃんからの最後のプレゼントだと
思います。
それも、「おしゃれ魔女」らしい、とっても粋なプレゼント。
「ふふふ。びっくりしたでしょう♪」と、空から声が聞こえる気がします。
おばあちゃんのことを想うとき、いつも感謝の言葉ばかりが浮かびます。
おばあちゃん、本当に本当にありがとうございました。
暗いニュースが多いこの世の中だけど、私たちの生きるこの世界は素晴らしい!
と思わせてくれる不思議であたたかい出来事でした。
P.S・・・先日は興奮(?)のあまり、アポ無しでアトリエに突撃して
しまい、申し訳ありませんでした。お忙しいにも関わらず、
お時間をとってくださったこと、心から感謝致します。
ありがとうございました。

沖縄のトトロファン さま
蒼井優主演の「ニライカナイからの手紙」という映画で きれいな南の海の彼方には亡き人の住むニライカナイというところがあることを知りました。安心ですよね。そんなところがあると。
全国個展って、いつか沖縄ではやりたいです。童神をいっぱい描いておきましょう。私には退職がありませんから、立てる間はアトリエで子ども達と共に在ると思います。休日もありませんが、心で遊んでいます。ここのブログも旅のようです。またコメントよろしくお願いします。

ゆう子さま
おしゃれ魔女の贈り物はやさしいですね。たなばたの宇宙からいろんなメッセージが届けられた今年の7月。やっぱり一人では生きられませんね。私も今はトトロですが 修行を重ねてステキな魔女になりたいものです。おばあちゃんが見ていてくださるから、あせらず 豊かに 3人の小さな宝物をお育て下さい。ゆっくりと文通続けましょう。「それがいいわよ。」(゚0゚)あっ おばあちゃんの声がしました。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 天の川:

« おめでとう | トップページ | いのちの日 »