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2012年7月18日 (水)

いのちの日

梅雨明けと同時に猛暑となり、35度やら36度やら…人の体温じゃあるまいし思考回路のヒューズが飛びそうだ。

そんな中、土曜クラスにうれしいことがあった。
ひと月くらい前に自転車で電柱に激突して大けがを負い入院した倉吉のアオイ君が復活してきたのだ。付き添って列車で一緒に来たのは、3月でアトリエを卒業した兄のシュン君。土曜日Dクラスの面々は、事故の話を聞きお見舞いの絵手紙やらイラストやらを送りまくった。小さな戦士、あわてんぼうのアオイ君は日ごろの不注意をかえりみて病院で痛い思いをしたことを必死に左手で綴ってきた。二度ほどの手紙の行き来があり、ようやく右腕のギブスもとれて簡単な装具をつけてアトリエに復活したというわけ。

みんなからの手紙には「僕も電柱にぶつかったことがあります。」なんていうのもあり、そういえば時々手を吊ったり、足を折ったりしつつ痛々しい姿で来ていた子もいたっけなあ・・・と思い出した。
そんなとき子ども達はヒーローになる。なんともない時には手紙など書かないのに、不自由になると書きたいらしく、健気にも挑んでみたりするのだ。やんちゃな子も運動の苦手な子もケガをしやすく、成長したら成長したなりに悩んでしまったりひっこんでしまったり、今度は心の葛藤が始まる。なかなかに健やかな心身に至るのは一苦労だ。

「いのちだけは大事にするんだよ。」アオイ君の武勇伝を聞きつつ、私はみんなにそう言った。「せっかく生まれてきたんだからさ。」と。

 

ちょうどそんな中、はるばる生まれ故郷の盛岡から「生命のメッセージ展」のパンフレットのイラストを描いてくれと注文が来て描かせていただいた。あれからずっと同級生の手を介してお手紙プロジェクトを細々と続行中なのだが、絵ハガキやミニカレンダーも付けて送っていたところ、私の童画が関係者の目に留まったらしかった。

おもに理不尽な事故でいのちを失った子ども達の親御さんたちが全国で展開しているイベントで、昨年は鳥取市でも行われた。
「銀河鉄道を描いてください。」とのご注文だった。まあ震災でも事故でも生きたいのに失われた命にはちがいなく、そのイベントでドライバーとかの飲酒運転が少しでもなくなればいいわけだし。ふるさとにイラストで役に立てるなんて夢のようだ。

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そのことが新聞のコラムに載った水曜日には、いつもアトリエを応援して下さる元新聞記者のHさんが畑のスイカを差し入れてくださった。
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毎日毎日生まれているいのち。毎日どこかで消えゆくいのち。その真ん中に生きている途中のいのち。アトリエのほんの一期一会の小さな仲間たちがお互いの無事を祈り、また会える悦びにひたる場面をくりかえしていく姿は、一回ずつの短編ドラマのようにいとおしい。

春に入った一年生も、アオイ君に手紙を書いてきたから遅れて送った。何かの発達障害ということであまり感情をあらわさなかったのに、自ら「助っ人」を名乗り出た高校生の陸君が一年生の担当になって傍らに居てくれるうちに、絵本を選んで持ってくる仕事ができるようになった。しかもそれはみんなの話題に関係するものをだ。

人の心は人の心が育てるものだ。それをしてもらえばその意味のわかる人になる。「だいじょうぶ。せっかく生きてるんだし、お手紙も通じたし、また心配しながらみんなで元気出そう!!」
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アオイ君も兄ちゃんも小さい一年生も、付き添いの陸君も復活記念の写真に収まった日。とても暑いけど生きて行かなくちゃね。

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コメント

かおる先生 お元気ですか?
約10年前のあたりの3年間、アトリエで絵を習っていたOBです。実は東京でここのブログを読ませてもらっていました。先生のお名前を検索してみたら、ブログに会えてうれしくなりました。今回の記事のように自分も入院したことがあり、先生から毎日絵手紙いただきました!薬より効きました。思い出してしまいアトリエに行きたくなりました。いじめの学校がニュースになっていますが、僕にはアトリエがあったからよかった。かおる先生 いつか会いに行きます。変わらぬ笑顔でいてください。m(_ _)m

たくさんの励ましの言葉をいただき、傷だけでなく子どもの心まで成長させてもらいました。子どもは、まわりの方の優しさや労わりに触れ、成長していくのですね。そんな人が、いじめを受けていた子どもの周りに存在しなかったことが残念です。私たち大人の今後が試されているのだと感じます。
たくさんの優しさ、ありがとうございました。

OBさま
東京から勇気を出してメールを下さりありがとうございます。卒業生のみんなは、かおる先生が筆ペンでなくパソコンでブログしていることにびっくりしてくれます(^-^;
でも、生き方はアナログ。考え方はジブリ。行動力はトトロです。[E:cat

いつでも会いに来て下さい。
元気でいれば 必ずまた会えるから、勉強しすぎないでね。
後輩たちはみんな元気です。ヽ(´▽`)/

しょうからはは様
子ども達は大丈夫です。どんなこともなんとかするエネルギーがあるようです。びっくりして心配するけれど、ケガをしないようにハラハラ育つより、痛い目にあって気づいた子のほうがたくましいようです。(親は大変ですが┐(´-`)┌でも治ってよかったですね。)

ケガは治りますが、すぐに土下座をしないおとなの鈍い言い訳体質は治らないから、大津に限らずニセモノの教育関係者を全員クビにしたいほど憤りがおさまりません。イジメか遊びかなんてどうでもよく、死にたいほど苦しんだ子どもの心の叫びを受け止められない先生は、無免許運転と同じです。ていさいを捨てて子ども達の本音を受け止められる先生が体制から排除されず、守られる社会になるように声をあげていくつもりです。

鈍い点では鳥取の先生たちも、同じように感じられます。
がんばってアンテナを磨いてください。貴女が教師なのでせっかくだから本音を書きました。応援していますよ。

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