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2012年6月11日 (月)

梅雨のうるおい

梅雨入りの土曜日は、降ったりやんだりの絹のような雨の模様が光っていた。

一週間のエネルギーを使い果たしたおとなのくたびれ加減とは裏腹に、梅雨のしずくで活気づいたように子ども達は元気だった。カラフルな絵を描き、楽しそうに話して笑って、絵本も次から次へと出しては読みふける。

アトリエの本棚は、いつのまにか自分たちの手作り看板が出来ていて、貸し出しカードを作っていたのは、少し前までやんちゃ坊主で毎回叱られていたT君だ。
「やっぱり君はステキな子になると思ったよ。」と言うと、「俺も。」と笑った。
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札幌からの転校生小学3年の「いっぺい君」はサルバドール・ダリが好きで、自分の絵の中にダリの時計をたれ下げたりしている。地元鳥取勢も「ダリってだりだ?」なんて受けをねらったりしつつ、「やっぱりおれは、ゴッホだな。」なんて、背伸びしいしい楽しそうだ。「ゴッホといえば、もう咳はなおったの?」と聞くと、「マイコプラズマの反応がようやくマイナスになったからアトリエに来た。」と少し頬のこけたような顔が笑う。あまり身体の丈夫でない子が絵だけは得意というパターンはアトリエには多いかも知れない。
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運動会やら遠足でいつも人の一番後ろからヒーコラと命がけだった私は、そんな子の気持ちがよくわかる。まあ一つでも大好きで得意なものがあれば大丈夫。文武両道の子も、人生のどこかではつまずくから、みんなそれぞれ差し引きすれば似たようなものだと思う。

 

不思議に前半のクラスが明るく元気だと、つづく後半のクラスにも空気の余韻が伝わるらしく、中学生達が絵本の読み聞かせまでしてくれた。入ったばかりの小学生が夢中で聞いて笑うものだから何冊も読んでは自分たちも幸福そうだった。岡山、米子、倉吉、そして転校生、市内も郡部もみんな昨日も明日も一緒に居るかのような仲の良さ。毎回たどりつく待ち合わせのようでなんだかとても可愛くて、その平和がありがたいと思った。
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ほぼ毎晩のように市展の作品を描きに来ているリク君は、挫折したりあせったり思うようにいかず苦しんだりしながら、それでも描き続けている。おかげで私の作品も少しずつ完成に近づいている。「あきらめたり投げ出しちゃだめだよ。」
私は自分にも彼にも言いきかす。彼は悩んでも筆を止めずにがんばっている。日曜も月曜も描きに来たから、私はリク君に伝えた。
「小学生達はアトリエにあなたの完成間近の絵があるから、いつかは自分もこんなにいい絵が描きたいなと思って、とても元気よく描いて帰ったんだよ。」
「そうですか・・。」
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今夜もアトリエで描く彼の机には、後輩のちびっこが石に色を塗ってつくったお守りのハリネズミがそっとおいてあった。

梅雨の季節は子ども達の気持ちを潤して新鮮な優しさが伸びる時なのかもしれない。
 

 

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コメント

しばらくごぶさたしている間に、アトリエではまた素敵なエピソードがいっぱい増えていますね。梅雨というと、お天気は悪いし、じめじめしていやだなと思うけど、たしかに植物は生き生きと元気よく伸びています。人間もそうなのかしら。
この時期を彩るアジサイの花は、ぎゅぅっとくっつきあった様子が仲良しという感じでかわいらしいですね。

アヤドンさま
アップしたてに即コメント ありがとうございます。
ほんとですね。子ども達 紫陽花の花みたいですね。
アヤドン家のMちゃんが藤城清治展で感動してメールをくださいました。
ほらね・・、子ども達の心って潤ってます。
草も木も人の心も天のしずくで プルるンとみずみずしく やさしくなるといいですね。アヤドンお久しぶり。(。・w・。 )

子供達には梅雨のじめじめも全く関係ないようですね(*^-^)
他方から皆が集まるアトリエ、先週お手伝いをさせてもらった時にも高校生のお姉さん達が言ってましたが、「ほっとする場所」なんでしょうね。
今の子供達ってとても忙しいですよね、学校でもやることがたくさんで帰ってからも色々と・・・
「ふっと落ちる落ち着ける場所」「癒される場所」が1つでもあるのはとても幸せだと思います。
アジサイのようにくっつきあった子供達、可愛いですねヽ(´▽`)/

かっぱのおやこ様
アトリエ名物「いきなりスタッフ」をお願いしてしまい、しかも ふつうに ニコニコと居てくださってありがとうございました。アトリエの参観はお断りしていますが、いきなりスタッフは大歓迎なのです。

 紫陽花の花の数だけ 笑顔咲く アトリエ時間の ホッと一息
                      トトロ 作
また いつでも コーヒー・・・じゃなかった、スタッフ頼みますよ。

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