大平原の少女
モンゴルの少女が月曜日のクラスに入った。4月から小2で、来日5年、日本語は上手で名前はサローラちゃん。迎える8人はそのために、アトリエに新しく購入した地球儀でモンゴルを探して「遠いなあ」とびっくり!「もし、みんなが外国に行って大好きな絵を習いに行くとしたら、そこにいた友達にどうしてもらったらうれしいかなぁ?」とだけ話しておいて、少し時間をずらしてやって来たサローラちゃんを迎えた。
双方緊張の面持ちで、「こんにちは」。 席についた彼女をちらっと見てしまってなかなか絵が進んでいない様子。「馬が描きたい」とサローラちゃん。…とその時、全員ガタゴトと立ち上がってアトリエ中の動物のぬいぐるみやフィギュアを彼女の前にテンコ盛りにした。馬も一頭あった。そうしてかたずを飲んでサローラちゃんを見つめる16の瞳。「わたし、これ全部描く!」モンゴル語で友達は“ナイズ”。付き添って見ていらっしゃったお母さんが教えてくれてみんなで口に出してみた。「せ~の、ナイズ!」。オヤツを分けて乾杯をして、こうへい君の発案で自己紹介をして歌を歌った。「楽しかった!」とサローラちゃんが笑ってみんなの顔がほっとほころんだ。
その日恥ずかしくてどうしても自己紹介ができなかった一年生のしんちゃんの下敷き用紙を片付けようとして、彼の気持ちを発見!絵の具で大きく自己紹介がしてあった。「〇〇〇しんのすけ、よろしく」。「サローラ」はモンゴル語で「広々とした」という意味なそうだ。新しい地球儀に少しだけ指の跡が残っていた。
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