会いたい人
会いたい人がいた。別れの前に会いたいと毎日思い続けていたら二度も会えた。中永広樹鳥取県教育長だ。素敵で偉ぶらずユーモラスで誠実な方だ。徳の高い人ほど頭が低い。昨年、大きなイベントでたった二度ほど会話を交わし、深いところで意気投合。何度か手紙で文通(今どき貴重!)して、メールみたいに即返信をいただいた。可愛い絵はがきだと喜んだら、私の絵はがきだったりして(笑)。いつも心底から子ども達の幸せな日々を考えての内容だった。本日をもって退職される。せっかく本物に出会えたのに、とても寂しかった。アトリエの高校生達が夏のイベントで裏方をします、と伝えていたら、ラフな姿で励ましに来て下さった。ピュアな彼らはすぐに感じとり「いい人だ~」と握手を求めつつ、「もう少し夏休みを長くしていただけませんか?」なんて…。私はちょっと慌てたけどね。名刺は後から、初対面の‘ビビッ’が先で、そういうのは滅多にない。いやはや鳥取県も惜しい人を失うものだ。
三月、ジミー大西展の帰りに アトリエの子ども達と車中から教育長を発見! 窓を開けて 「お別れに何がいいですか~?」と叫ぶ私。「絵がいいでーす!」と中永氏。そのやり取りを子ども達も見ていた。「かおる先生、友達に絵を描くだか?」「お別れなんだよ。」「僕も転校する人に 絵を渡したよ。一緒だな~」そう、一緒。
3月30日、私はアポもとらず絵を抱えて、県庁のエレベーターで五階の教育長室へまっすぐ向かった。ガサゴソとデスクを片付ける音がして、広くなった部屋にたった一人でその人はいらっしゃった。「約束の絵を持ってきました。」同行してくれた友人のナンシーが、教育長のデスクに何かを発見、「ほら、ドングリ」。高らかに笑って「ちょっとこんなのを置いておくといいでしょう?!」と彼。私はまた子ども達に伝えよう。「会いたいと思えば会えるんだよ。」
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